広島一岡が帰ってきた 右腕負傷から今季初登板

3番手で今季初登板する一岡(撮影・栗木一考)

<日本生命セパ交流戦:広島6-4オリックス>◇17日◇マツダスタジアム

 確かに、そして大きく、1歩を踏み出した。広島一岡竜司投手(25)が「日本生命セ・パ交流戦」オリックス戦(マツダスタジアム)で今季初登板を果たした。今春キャンプで「右浅指屈筋損傷」と診断され、長いリハビリ生活を送った。8回2死二塁で打者1人、5球の初登板。オリックス、モレルを右飛に打ち取った。一岡の16年が開幕した一戦は、延長12回に鈴木がサヨナラ2ランを放った。

 「ピッチャー一岡」-。両手を握って祈るファンがいた。8回2死二塁。一岡は小走りで今季初登板のマウンドに向かった。初球にこの日最速の142キロを計測。変化球も交え、わずか5球でモレルを右飛に仕留めた。ふーっと息をはき、マウンドを降りた。「結果を求めてやりたい」。宣言通り、昇格即、上がったマウンドで結果を残した。

 靴ひもさえ結べなかった。今春キャンプで、右前腕に痛みが走った。「右浅指屈筋損傷」。野球選手には少なく、診断名の特定にさえ時間がかかった。ひたすら検査を受け何も出来ない日々が続いた。診断後でさえ、許された練習はゴムボールを握ることだけだった。あまりに遠い1軍のマウンド。だが、すぐに気持ちが前を向く。「あの約束」が一岡を動かしていた。

 「一緒に1軍に上がろうな」-。1月中旬。キャンプ2軍スタートが決まった日。ロッカールームで中田、今村と誓い合った。かつて勝ちパターンを形成し、故障に苦しむ3人は同じ境遇にいた。他の2人は2軍キャンプでアピールし、開幕1軍を勝ち取った。一方の一岡は故障。悔しさより、それがモチベーションになった。約束を果たすためなら、地道なリハビリにも向かい合えた。今村は1軍での練習で「チームカピバラ」のTシャツを着続けていた。一岡と、同じく復帰を目指す大瀬良を待ってくれていた。

 夫人の支えもあった。4月18日に地元福岡・糸島市の幼なじみと結婚。「ケガが多かったのですが、精神的に支えになってくれました」。同居生活も始まった。「何も変わらないですよ」と照れるが、自然に気持ちを復活のマウンドへ向けてくれた。「3軍、2軍、1軍といろんな人に感謝の気持ちが強い」。奪ったのは1つのアウト、投じたのはわずか5球。感謝の日々はこれから返していく。