金本阪神、巨人に貧打負けで異例の居残り素振り

巨人対阪神 8回表、ベンチでうつむく金本監督(撮影・田崎高広)

<巨人3-2阪神>◇5日◇東京ドーム

 敵地だろうが関係ない! 6安打2得点と貧打が極まり巨人に敗れた阪神金本知憲監督(48)が、打開を図る異例の行動に出た。コーチ陣が緊急ミーティングを開き、野手陣は三塁側ブルペン内で居残り素振り。借金がワーストの9となり、首位広島に13ゲーム差の最下位に安住するつもりはない。今日にも自力Vが消滅する危機に、なりふり構わずムチを振るった。

 巨人の凱歌(がいか)が漏れ聞こえる三塁ベンチ裏に、金本監督は厳しい表情のまま現れた。「今の内海の状態で点が取れないようじゃね。もうどうしたらいいかわからん」。1番上本、5番新井ら右を7人並べたが、本調子ではない左腕に好機らしい好機もつくれず。息切れした7回、代打原口の押し出し四球で1点を返すのがやっとだった。

 借金はワーストの9。首位広島とはついに13ゲーム差が開き、今日6日にも自力Vが消滅する。重苦しさだけが漂う中、金本監督は全コーチを一室に集めた。高代ヘッドコーチは「いろいろ話すことはあるやろ。見たら分かるやろ」と多くを語らず。ピリピリ感いっぱいのコーチ招集が事態の深刻さを物語っていた。

 その後、今度は片岡、浜中の両打撃コーチが若手をベンチ裏のブルペンに集めた。高山、北條、江越、中谷の4選手に15分、敵地では初の「居残り素振り特訓」が課された。片岡コーチは「ボール球を打つことが多い。自分のタイミングで振ることを確認した。試合直後の方がイメージが残っている」。休養日だった前日も神宮で高山ら6野手に緊急練習を命じた。連日の異例練習に、もがくチームの姿が映し出された。

 金本監督の苦悩は打てないだけではない。守りのミスからの自滅も恒例になってきた。

 0-0の6回1死一塁でゴメスが橋本到のバントをファンブル。メッセンジャーがそこから3点を失った。「エラーでリズムが崩れた。それまで完璧だったからね。先発が好投しているんだから打者が何か思わないと。感じないと。投げてる姿を見て」。6回まで2安打で、得点する気配も醸し出せなかった。

 8回に鳥谷のソロで1点差に迫り、迎えた9回無死一塁。同点狙いのバントがセオリーだが、強攻させた北條は空振り三振に倒れた。「打撃に期待してね。北條は今年バントミスも多いから。表の攻撃だし一気にひっくり返そうとね」。中谷も沢村に三振。その後、原口にヒットが出て、送っていればと恨めしいがタラレバはない。代打伊藤隼が最後の打者になると、観戦した坂井オーナーは何も答えず歩みを進めた。

 「育てながら勝つ」超変革が、大きな壁にぶち当たっている。無抵抗のまま、自力V消滅を迎えるのか。緊急コーチ会議、緊急居残り練習の意義を肝に銘じ、意地を見たい。【松井清員】

 ▼今日6日に阪神●、広島○のとき、阪神の自力優勝がなくなる。阪神は7日以降の62試合に全勝した場合、96勝44敗3分けで最終勝率6割8分6厘。広島は阪神戦残り13試合に全敗しても、他球団との48試合に全勝すれば97勝44敗2分けで6割8分8厘となり、阪神を上回るため。また阪神は、2年連続で球宴前の負け越しが決まった。

 ▼これで首位広島とは13ゲーム差。過去セ・リーグ最大ゲーム差の逆転優勝は08年巨人の13ゲーム差で、阪神が今季逆転Vならこれと並ぶ。

 ◆金本監督と素振り 最も重視する「打撃の形」は、素振りで作られるのが持論。阪神で4番を張っていた現役時代、試合の勝ち負けにかかわらず、試合後にベンチ裏の大鏡に対して素振りを繰り返した。本拠地甲子園なら1時間近くに及ぶこともあった。敵地や遠征先では宿舎ホテルの自室に戻ってから、窓に映る姿を頼りにバットを振ることもあった。