<広島6-7中日>◇20日◇マツダスタジアム
広島がまたしても「神った」。実体のないそれは、敵軍にとっては恐ろしいばかりだ。まん丸の月、試合開始直前の大雨、スタンドで不気味に揺れる大量のうちわ。独特の空気が漂う。潜んでいた魔物は6回に突然、中日ビシエドに襲いかかった。普通では考えにくい、超常現象だった。
代打松山の適時打で1点をかえし、2点を追う2死一塁。田中は決め球を打ち上げてしまった。一塁ビシエドは落下地点をとらえ、完全な捕球体勢。だが、まさかだった。ボールはグラブをかすめた。失策だ。あちこちでお手製の「神ってるボード」が揺れていた。
神ったら、しっかり恩返しする。菊池の四球で2死満塁とつなぎ、3番丸だ。4球目の直球をしっかり引っ張り、一、二塁間を割った。同点の2点適時打。一塁ベースで静かに拳を握った。「打ててよかったです。覇気を出していきました」。力強く振り返った。
4回表終了時点でスコアは1-5。完全な劣勢だった。今季初先発だった大瀬良の復帰星はなくなり、2番手九里も2失点。中日大島には6回までにサイクル安打を達成された。貯金は21ある。「一休みムード」が球場を包んでいた。だが、ここでは何が起こるか分からない。試合前までで今季30勝11敗1分け。平均得点5・3点を記録していた。緒方監督が「神ってる」と表現した鈴木の3戦連続決勝弾もマツダスタジアムだった。「最後の最後まで、お客さんが大声で選手に勇気を与えてくれる」とは緒方監督。広島はまたここから加速していく。【池本泰尚】