<日刊スポーツ:1998年7月24日付>
プレーバック日刊スポーツ! 過去の7月24日付紙面を振り返ります。1998年の1面(東京版)は、オールスターゲームタイ記録となる巨人松井の3試合連続本塁打でした。
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<オールスターゲーム:全パ3-3全セ>◇第3戦◇23日◇マリン
また、松井だ。全セ松井が3試合連続アーチを放ち、MVPを獲得した。3回、岩本から先制2ランを右翼席にたたき込んだ。3戦連発は王(巨人)柏原(日本ハム)清原(西武)に続く球宴タイ記録。来年、史上初の4戦連発に挑む。第1戦では飛距離160メートルの球宴史上最長弾を放ったが、この日は「世界の王」に並ぶアーチでファンをまたまた魅了した。試合は3―3の9回引き分けで、対戦成績は全パの68勝52敗7分けとなった。
「球宴男」の称号を清原から奪う松井の一発が、千葉マリンスタジアムの右中間スタンドに飛び込んだ。昨年第2戦(神宮)、そして前日第1戦(ナゴヤドーム)に続く2年越しの球宴3試合連続アーチ。3回表無死一塁の第2打席で飛び出した。「(3戦連発は)信じられませんよ。でも気持ちいいですねえ」。イースタン時代のライバル岩本のカーブを完ぺきにとらえた。王、柏原、西武時代の清原に続く史上4人目の3戦連発。この一撃で、1995年(平7)第2戦(広島)以来、2度目の球宴MVPを獲得した。
まさに絶好調だった。試合前のホームラン競争では清原、鈴木健らのスラッガーを抑えて5スイング中、両リーグトップの2本をマーク。清原から「どっちが多く打つか、勝負しようやないか」と「賭(か)け」を持ち出されていたが、それに勝っていい気分で試合に臨んだ。第1打席では小宮山から右翼線を破る二塁打。「ホームランか三振かという気持ちで行きます。3戦連発はもちろん狙いますよ」。普段は大口をたたかない松井が、この日の試合前は報道陣に強気のコメントを連発。それは自信の表れに違いなかった。同僚の高橋は「昨日もめったに見られない打球が見られましたからね。それに今日の一発でしょ。ほんとにすごいですよ」と松井のパワーに舌を巻く。松井が打点を挙げた試合は6戦負けなしと「無敗神話」も続いている。
第1戦の160メートル弾が「力」の一発なら、カーブに対し体をうまくためて打ったこの日のアーチは「技」の一発といっていい。来年の球宴には史上初の4試合連続本塁打の期待がかかる。その背番号「55」は「王さんの年間55本を超えたい」との願望で松井自身が選んだ。年間本塁打ではまだ及ばないが、球宴記録では、もはや「世界の王」を追い越す勢い。「本塁打の記録はすべて僕が塗り替えたい」。その意識は「新お祭り男」そのものだ。
それでも目指すは、やはり公式戦での本塁打王。「この感触で後半戦も行きたいですよね」。現時点で2位の江藤に3本差の20本。打ち出すと止まらない松井のバットに、この球宴で火がついた。96年8月に自己月間最多の11本塁打を放つなど、夏には抜群の相性を誇っている。悲願の初タイトルに向けて、もう死角は見当たらない。
◆楽しんでいるようだ
ダイエー王監督「こういう舞台で結果を気にせず、楽しんでいるんじゃないかな。大舞台に強い選手は強いハートを持っている。球宴で打てば波に乗れるし、初のキングに向けて頑張ってほしい。僕は終わっているが、彼にはまだ次がある」
◆ケタ外れの打撃だ
ヤクルト野村監督(松井について)「本当にすごい。フリー打撃を間近で見たけど、ケタが外れてますね、あのパワーは。よくうちのピッチャーが抑えてると思いますよ」
◆五月ママ御機嫌
赤だれですねえ、今夜の松井さん〜。CM通り、やっぱり松井のパワーの源は焼き肉にありました。ナゴヤドームでの第1戦後、実家のある石川・根上(ねあがり)町から応援に来ていた父昌雄さん、母さえ子さん、兄利喜さんと名古屋市内で好物の焼き肉をつつきながら家族水入らずの時間を過ごした。昌雄さんからも球宴史上最長アーチを「いいホームランだったね」と褒められて、テレまくっていた。そして、この日の3戦連発に、もう一人の「母」も大喜びだった。キッコーマン焼き肉のタレのCMで母親役を演じるタレントの五月みどり(58)がその人。「3試合連発なんて、さすがですね。不調のときなんか応援に行きたくてウズウズしていました。本当の息子の試合を見ているように、いつもハラハラしています。やっぱりアメリカのゴジラより日本のゴジラですよ。ところで前夜の焼き肉、赤だれ、黒だれのどっちで食べたのかしら。気になりますね」とご機嫌だった。
▼データセンター
松井(巨人)が昨年第2戦から3試合連続本塁打。これは、1962年(昭37)第2戦、63年第1、2戦王(巨人)79年第3戦、82年第1、2戦柏原(日本ハム=80、81年は不出場)92年第3戦、93年第1、2戦清原(西武)に次いで4人目の球宴タイ記録だ。昨年はカウント0―1、第1戦は1―3から打ったが、この日は2―0と追い込まれてからの一発。最近3年、松井の公式戦でのストライク別本塁打を出すと2ストライク後の一発が増えたのが今季の特徴で、球宴でもその成果が見られた。なお、松井のMVPは95年第2戦に次いで2度目。巨人の選手でMVP2度は、王(3度)に次いで二人目になる。
※表記などは当時のもの。