巨人阿部2戦連続V打 石川佳純に感じた目力を発揮

巨人対阪神 1回裏巨人1死一、二塁、阿部は中前に先制適時打を放つ

<巨人3-0阪神>◇20日◇東京ドーム

 巨人阿部慎之助捕手(37)の眼光は首位広島の背中を逃さない。阪神戦でチームが苦手とするルーキー青柳から初回に先制適時打を放った。6回途中まで2得点で完全攻略とはならなかったが主導権をもたらし、接戦を制した。主砲の今季10度目の勝利打点でチームは3連勝を飾り、貯金を今季最大の10に伸ばした。

 阿部は目を見開いた。出はなの数少ない好機を勝負師の本能で察知した。初回1死一、二塁。サブマリンの青柳とは1勝1敗ながらチーム打率1割2分2厘。荒れ球で懐を突かれる右打者は特に苦にしていた。早々に訪れた勝負どころ。フルカウントから外寄りの直球をセンター左にはじき返す。失策も絡み、2得点を奪い取った。「追い込まれていたので変化球も頭にあったが(直球を)コンパクトなスイングで打ち返すことができた」。曲がり球も頭に入れつつ、仕留めた。

 青柳からは6回途中まで、初回の2得点にとどまった。だが重みのある点だった。各打者が粘り、7四球を選んで125球を投げさせた。阿部がもたらした流れでもある。高橋監督も「最初のチャンスで点が取れたのが大きい」と認めた。

 勝利だけを純粋に追求する時期に入った。阿部は目力(めぢから)を大切にする。「捕手として一番近い位置で打者の目を見てきたからね」。相手の思考、精神状態、勝負に必要な無数の情報が詰まっている。魅了される目力を持った人に最近、出会った。「卓球の石川佳純さん。試合をしている時の目がすごい。絶対に勝つんだという意思がにじみ出ている。目で殺すみたいなね。そういう目をした人は少ない。安倍首相もそうだったけどね」。13年に内閣総理大臣賞授与で対面した一国の宰相と通ずる瞳の奥の力を、リオ五輪で団体女子銅メダルに輝いたアスリートに感じた。

 残り30試合近くになり、首位との差は決して近くない。だからこそ目線を落とすことはしない。「優勝するという思いを強くする。阪神との13ゲーム差をひっくり返した08年も同じ。じわじわ差を詰めて、相手が負け出して『行けるぞ』となる」。阿部の鋭い視線はてっぺんに据えられている。【広重竜太郎】