<広島3-0DeNA>◇8月31日◇マツダスタジアム
また孝行息子の登場で、広島の優勝マジックが10となった。DeNA22回戦(マツダスタジアム)の予告先発は福井優也投手(28)だったが、首痛のため試合開始直前に登板回避。急きょマウンドを託された薮田和樹投手(24)が今季初先発で6回無失点の力投。球団のシーズン最多勝利に並ぶ75勝目を運んでくると、巨人がヤクルトに敗れた。神ってるマジック減らしで史上最速Vまである!?
午後5時50分。“救世主”はロッカールームにいた。薮田に畝投手コーチから声がかかった。「行くぞ!」。ハンガーにかけてあった真赤激ユニホームに手を掛け、袖を通した。すぐにアドレナリンが湧いてきた。「1軍で先発が出来る喜びを感じた。しっかり投げたいと思った」。今季の12試合はいずれも中継ぎ登板。「肩が出来るのも早かった」。15分後には登場曲が流れるまっさらなマウンドにいた。
突然のアクシデントで、今季初先発のマウンドは巡ってきた。午後5時45分。予告先発だった福井が試合前のブルペンで「右手に力が入らない」と訴えた。投手コーチ、トレーナーが緒方監督に報告に走った。審判団も立ち会い、DeNAラミレス監督に事情を説明し了承を得た。最終のメンバー表交換は午後6時までずれ込んでいた。
午後6時4分。試合開始。燃える薮田は亜大で磨いた、落ちるツーシームを武器にDeNA打線を封じた。「1イニングずつのつもりで投げました」。2軍でプレートの踏む位置を一塁側に変更。左打者の内角、右打者の外角に投球のラインをつくり、制球も安定した。4回には2死二、三塁のピンチでエリアンを高め直球で空振り三振。グラブをたたいてほえた。
「いけるところまで、中継ぎのつもりで投げた」と言う投球は、気付けば6回に達していた。115球を投げきり、2安打無失点。デビュー戦の15年7月1日以来の先発勝利となる、今季2勝目。スクランブル登板をこなした右腕に緒方監督も「今日は薮田。最高の結果」。本拠地での先発勝利は今回が初めてだ。
これでチームは75勝目。84年に並び球団のシーズン最多勝利記録に並んだ。マツダスタジアムでは41勝目で本拠地最多勝利数を更新。巨人が敗れたため優勝へのマジックナンバーは2個減って「10」となった。「選手がしっかり試合に集中して、やるべきことをしっかり出来ている」と緒方監督。少々のアクシデントも吹き飛ばす強さがある。【池本泰尚】
◆薮田和樹(やぶた・かずき)1992年(平4)8月7日、広島生まれ。岡山理大付-亜大を経て、14年ドラフト2位で入団。長身から投げ下ろす直球は最速153キロを計測する。昨季はプロ初登板初先発の巨人戦で初勝利を挙げた。子どものころから広島ファン。188センチ、84キロ。右投げ右打ち。
▼広島が今季75勝目を挙げ、日本一になった84年(75勝45敗10分け)にマークしたシーズン勝利数の球団記録に並んだ。マツダスタジアムでは今季41勝目となり、8月は17勝8敗で終了。本拠地球場で41勝は広島市民球場時代の86年、マツダスタジアムで14年にマークした40勝を上回る球団新記録で、月間17勝は94年8月の18勝に次ぐ球団史上2位の勝利数だ。現12球団で広島だけがシーズン80勝したことがないが、球団創設67年目の今年、初めて80勝の大台に乗せそうだ。
◆広島の最短V 現日程では9月7日。2リーグ制後、最も早く優勝を決めたのは90年巨人の9月8日で、2位は03年阪神の9月15日。広島が90年巨人を抜く最速Vに挑戦する。