<ヤクルト2-5広島>◇2日◇神宮
広島が得意の逆転劇で優勝マジックを7とした。2点を追う5回、新井貴浩内野手(39)が逆転の17号3ランを放った。さらに続く鈴木誠也外野手(22)も24号ソロと2者連続アーチで流れを引き寄せた。目前に迫った25年ぶりの優勝を果たした場合、2人とも最優秀選手(MVP)の有力候補に挙がる。菊池、野村、ジョンソンらも候補で、順調なマジック減らしとともにMVPレースも注目される。お祭りムードは高まるばかりだ。
新井は体勢は崩されながら、バットをボールの軌道に乗せた。2点を追う5回2死一、三塁。カウント2-2からの6球目、低めのスライダーをとらえた。打球は左中間スタンドへ消えていく逆転の17号3ラン。一振りで今季41度目の逆転勝ちを呼び込んだ。
「低めにコントロールよく決められていた。チャンスは少ないと思っていた。追い込まれたなかで、うまく打てたと思います」。これで94打点とし、2位のDeNA筒香と5打点差とした。11年以来となる2度目の打点王も現実味を帯びる。「優勝を1番に考えている。そのなかで(ファンの)みなさんが期待してくれるのなら、その期待に応えたい」。打点は勝利につながる。チームのために打つ男は、いつも神宮で加速していく。
4月26日の通算2000安打も神宮だった。8月2日の300本塁打も神宮だ。ヒーローインタビューに聞き入っていた緒方監督も「新井さんは神宮でよく打つな。大好きなんだろうね。大したもの」と笑った。「大学時代からプレーしている。縁があるのかな」と新井。2000安打でご祝儀を包んでくれた「友達」のヤクルトのマスコット・つば九郎もいる。そして、背中を押してくれる関東のファンもいる。
新井の3ランに、次打者の鈴木も続いた。逆転アーチの興奮が冷めやらぬ初球を左翼席へ放り込んだ。「たまたまです。新井さんが厳しい場面で決めてくれるので楽に打てる。だからこそ初回に打てずに悔しい」。1回に新井が四球を選んで2死一、三塁と好機を広げるも、鈴木は空振り三振に倒れていた。ただアベック弾は4度目で、いずれも勝利を呼び込んでいる。優勝すれば、どちらもMVP候補に挙がる活躍を見せている。
チームは4連勝でマジック7。貯金は31まで積み立てた。25年ぶりの優勝へ、カウントダウンは勢いづくばかり。新井は言う。「近づいてきているという実感はあるけど、みんな今まで通り何も変わらずにプレー出来ているでしょう。やってきたことをこのまま続けていきたいね」。左翼スタンドに手を振り、汗をぬぐって、また歩き始めた。悲願の時まで、もう少しだ。【池本泰尚】
▼広島が今季41度目の逆転勝ちでマジックを7に減らした。広島は8月24日にM20が点灯。25日からは7勝1敗となり、この8試合はチーム打率3割3分4厘の猛打。中でも鈴木は36打数18安打、6本塁打、10打点、打率5割を記録してマジック減らしに貢献している。広島が唯一黒星だった28日は巨人も敗れたため、ここまで1度もマジックの停滞がない(試合のなかった29日を除く)。11年ソフトバンクが9月17日にM17を点灯させてから28日のM3まで停滞なしで減らしたが、広島はどこまで続くか。