<巨人4-6広島>◇10日◇東京ドーム
広島が優勝マジック1として迎えた巨人戦で勝利した。1991年(平3)以来、25年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。前回優勝時は高卒5年目の若手外野手で、以来、赤ヘルをかぶり続け監督就任2年目の緒方孝市(47)が7度、宙に舞った。続いて男泣きした黒田博樹投手(41)、新井貴浩内野手(39)の両ベテランも胴上げされる。優勝を待ちわびた広島の街だけでなく、全国のカープファンに喜びが広がった。
勝利のボールは新井のミットに収まった。涙の胴上げだ。緒方監督、黒田に続いて5度、宙を待った。「オレはいいって言ったんだけど。黒田さんを見てグッときた。みんなのおかげ」。黒田と抱き合い泣いた。
広島の主砲から07年オフ、阪神にFA移籍。7年のシーズンをタテジマで過ごしたが「最後は広島で」と戦力構想から外れつつあった阪神を退団。14年オフに古巣へ復帰した。
しかし簡単ではなかった。FA宣言しての残留すら例のない“結束”を持つチーム。そこを出た新井が復帰することへの戸惑いは現場にもあったという。
その12月、新井は緒方監督と食事する機会を持った。石原を交え、3人で広島・流川のフグ料理店で話した。そこで緒方監督からこんな言葉を受けている。
緒方監督 広島のファンは揺れている。「新井、よう帰ってきた」「どのツラ下げて帰ってきた」。ファンの声は半々。その見方を変えていくのはお前自身。チャンスはやる。でも自分がやるしかない。
新井は言う。「FAで出ていって、年取ってから、なんで帰ってくるのかって監督も感じていたと思います。ボクでもそう思う」。
だからこそ若手に交じって厳しい鍛錬を続けた。復帰2年目の今季は2000安打、300本塁打、1000得点まで達成。そして優勝まで体験できた。
「感謝してます。言葉通り、チャンスをもらった。去年がなければ今はない。広島で優勝できるなんて本当に夢のよう」。ウイニングボールは新井から監督の手に渡った。【高原寿夫】