<阪神6-8DeNA>◇15日◇甲子園
中秋の名月も雲の隙間からのぞき見た? 阪神陽川尚将内野手(25)が昇格即、豪快アーチをかっ飛ばした。6回、DeNA石田から中堅右へ同点2号2ラン。ファームで本塁打量産する好調さを買われ、左腕対策の抜てきに1発回答だ。守備の痛恨ミスは猛省しつつ、来季生き残りへ打ちまくるしかない。
やってきた成果が発揮された。2点ビハインドの6回。1死一塁。陽川はDeNA石田の甘いチェンジアップを一振りで仕留めた。打球はバックスクリーン右の中段に突き刺さる、推定125メートルの2ランアーチ。ド派手な一撃で聖地を揺らした。
「とにかくがむしゃらに1球1球やっていこうと思っていました」
この日の午前中まで鳴尾浜の2軍施設で練習に励んでいた。広島・由宇へ移動する途中に、急きょ1軍昇格が決まり甲子園に合流。鳥谷に代わってサードで即スタメン起用され、4月29日DeNA戦(甲子園)以来、プロ入り2度目のホームランだ。金本監督も「半速球だったけど、いきなり打ってくれた」と大砲候補の1発を評価した。
今季は何度も1軍昇格のチャンスを与えられながら、継続して結果が出せずに2軍落ちを繰り返した。8月21日に3度目の出場選手登録を抹消。その後は甘い球を一振りで仕留めることをテーマに、バットを振り続けてきた。その成果か、2軍では練習試合を含む直近13試合で4戦連発など8本塁打の大爆発。ウエスタン・リーグでは14本塁打、62打点と2冠王だ。だが、周囲も認める結果を残しても陽川に笑顔はなかった。
「2軍で結果を残すのはいいことやけど、2軍でしか結果を残せないやつやと思われてしまったら、それで終わりやから。もう後がないと思ってる」
特大アーチを放ったこの日の試合後も陽川に笑顔はなかった。最後には自ら切り出し、決勝点につながった7回のファウルフライの落球を猛省した。
「それよりも、フライを落としてしまったので。捕らないといけないのでピッチャーに申し訳ない」
鳴尾浜という鍛錬の地を経て、身も心も成長して帰ってきた背番号55。ロマンあふれる虎の長距離砲のここからの活躍に期待大だ。【梶本長之】