<阪神2-1巨人>◇9月30日◇甲子園
新記録からサヨナラ! 阪神高山俊外野手(23)が、1点を追う9回、巨人沢村から投手強襲安打。球団新人最多安打で並んでいた98年坪井智哉を抜く136本目の快音が合図になった。原口、代打福留、鳥谷の3連打から最後は俊介がサヨナラ犠飛。G倒! チーム6連勝! 超新人の偉業にふさわしいドラマチックな勝利になった。
ついに猛虎一のルーキーとなった。1点ビハインドの9回1死。高山は1球目から狙いを定めていた。初球。巨人の守護神沢村のフォークが真ん中に抜けた。逃すことなくフルスイング。痛烈な打球はワンバウンドで沢村の右足を襲う内野安打。一塁を駆け抜け、ふっと白い歯をこぼした。
「甲子園ですごい数字を打てたというのと、厳しい試合展開の中でいい1本になったので良かったです」
3打席目まで先発内海の前に無安打だった。それでも土壇場の最終打席にしっかり結果を残す。新人離れした勝負強さで、98年坪井がマークした、球団の新人最多安打記録135本をついに塗り替えた。
打撃フォームに工夫を凝らし続けた1年だった。シーズン序盤。大学時代とは違うプロの速球に対応するため、右足を早く上げ、早めにタイミングを取るフォームを進化させた。さらにオープンスタンスだったフォームも改良。トップの位置でもバットを立てて構えていたが、現在では右足を閉じ気味にし、バットも寝かしている。これは脇を締めるイメージでバットを出すことを心掛けるためだ。
さらに立ち位置も、これまでベース寄りの白線に対し、縦に1足分空けて立っていたが、内角攻めに対応するためベースラインぎりぎりに立つように改良。これが功を奏して後半戦は安打を量産した。スイングの際には体が前かがみになる点を矯正。インパクトの瞬間に、背中を張ったイメージでバットを出すように、現在も練習を続けている。天才と言われがちだが、136本の安打の全てが努力の積み重ね。高山の信念でもある「考えて打席に立つこと」を心掛けるからこそ、偉大な記録に手が届くのだ。
高山の安打を口火に、チームは逆転サヨナラ勝利。今季最多の6連勝を決めた。いよいよ今日が最終戦。もう1つの記録、58年長嶋の新人猛打賞プロ野球記録の14度に並ぶことも期待される。「正直、今日なんとか3本打ちたい気持ちがあったんですけど。明日は最後なので自分の記録ではなく、1年間応援してくださったファンの前で勝てるようにしたいです」。どこまでも頼もしい黄金ルーキーが、充実した1年の有終の美を飾る。【梶本長之】
▼高山が9回の投手強襲安打で136安打とし、並んでいた98年坪井を上回り球団の新人安打数単独1位となった。高山の内野安打は23本目で、こちらも坪井の22本も抜いた。高山の全安打に対する内野安打の比率は16・9%。今季セ規定打席到達者中ではDeNA倉本17・2%(全157安打=内野安打27)に次ぎ2位。全力疾走で稼いだ安打が、快挙の陰にある。