ソフトバンク望みつなぐ3発 長谷川「意地もある」

2回表ソフトバンク1死、先制本塁打を放ち、ほえながら一塁に向かう長谷川(撮影・野上伸悟)

<パCSファイナルステージ:日本ハム2-5ソフトバンク>◇第4戦◇15日◇札幌ドーム

 ソフトバンクが、開き直った3発で、崖っぷちに踏みとどまった。日本ハムに王手をかけられた第4戦、3本塁打などで5得点する攻撃で逆襲の1勝を挙げた。2回に選手会長、長谷川勇也外野手(31)が先制ソロ。4回に今宮健太内野手(25)が2ラン、6回に松田宣浩内野手(33)がソロとたたみかけた。アドバンテージを含め対戦成績を2勝3敗とし、日本シリーズ進出に希望をつないだ。

 ソフトバンクが踏みとどまった。敵地札幌ドームの外野席に3発放り込んだ。2回、長谷川がバックスクリーン左へ豪快にたたき込んだ。「まだみんなと野球がしたい」。最後の夏を迎える高校球児のような気持ちで先制アーチをかけた。

 前日14日の第3戦は今CSで初めてスタメン落ちした。第1戦、第2戦で8打数1安打。「昨日(14日)の負けは僕にも責任がある。チームを絶対勝たせようという打撃をしようと思った」。今季、チームは高梨に0勝3敗ながら、長谷川は8打数4安打。好相性で大事な先制点を奪った。右足首の違和感に悩まされ続けているが、弱音を吐かずプレーを続ける。

 3回にも1点を追加し、4回には今宮が高梨の内角低め直球を左翼席へ2ラン。打たれた高梨が首をひねるほど難しい球を「勝手に体が反応した」と、腕をたたみ、腰を回転させて捉えた。これでファーストステージからCS7打点。打点を挙げた試合はすべて勝つラッキーボーイぶりだ。

 6回には松田がソロを放った。CSファーストステージから通じて初めて複数本塁打が出て、得意の先行逃げ切りに持ち込んだ。今季リーグ戦83勝のうち先制点を奪っての勝利は60試合にもなる。今CS6戦のうち4戦は先制を許す苦しい展開だったが、ようやく本来の形で勝利した。

 負ければ終戦のこの日、ナインに悲愴(ひそう)感はなかった。試合前には報道陣のビデオカメラで川島がベンチに座るナインを映し、アップを撮られた長谷川は笑いながらボールを投げ返した。「みんなが1年間やってきた集大成もあるし、意地もある」と話す長谷川は、札幌ドームのお立ち台から全国のソフトバンクファンにはっきりと約束した。「明日(16日)も絶対に勝ちます」。選手会長の目は奇跡をあきらめていなかった。【石橋隆雄】