栗山監督「ゾクゾクする感じ」敵地2連敗も重圧歓迎

6回裏広島2死、ベンチの栗山監督(右から2人目)はエルドレッド(左)に本塁打を打たれ、厳しい表情(撮影・加藤哉)

<SMBC日本シリーズ2016:広島5-1日本ハム>◇第2戦◇23日◇マツダスタジアム

 あぁ魔の6回…。日本ハムが1-1で迎えた6回、一挙4失点で敵地2連敗を喫した。本塁でのタッチプレーが、リプレー検証の末、セーフに覆り勝ち越し点を献上。先発増井浩俊投手(32)のバント処理が適時失策になるなど、失点を重ねた。札幌ドームでの日本一の胴上げは消滅したが、本拠地に舞台を移す明日25日の第3戦から巻き返す。

 3分の“間”が、世界を変えた。分岐点は、同点の6回にあった。無死二塁。広島菊池の左前打を処理した西川が、本塁へダイレクトで返球した。いったんはアウトとコールされたが、リプレー検証で判定が覆った。栗山監督は「これが今年の形」と受け入れたが、均衡は一気に崩れた。「そのままセーフ(と言われる)よりも時間があって、切り替えが難しかったと思う」。5回まで3安打と奮闘していた増井が崩れた。

 菊池の一打も、バスターでバントシフトの裏を突かれたもの。判定が覆る“ダブルショック”。増井は「意表をつかれました。切り替えていかないといけなかった」と話すように、動揺があった。さらに試合再開直後、丸のバント処理を自ら一塁へ悪送球。沸き返る赤いスタンドを前に、悪夢は続いた。

 交流戦のホームとビジターが隔年になったことで、チームとしては今年初めてのマツダスタジアム。増井にとっても2年ぶりのマウンドだった。投前へ転がってきたバントだったが「いつもやっている人工芝より転がってこなかった」。天然芝で打球の勢いが殺されたことで、通常よりも体の遠いところで捕球することになり、それが送球ミスへとつながった。前日22日の第1戦で雨中のマウンドに手を焼いた大谷とともに、慣れない敵地に苦しんだ2試合になった。

 だが栗山監督は、どこかうれしそうに言った。「そんなに簡単に、日本シリーズはいかない。ここまで追い込まれて、緊張してやることに意味がある。なんか、ゾクゾクする感じ」。11・5ゲーム差をひっくり返したペナントレースもそうだ。レギュラーに30代がひとりだけという若いチーム。重圧の中でプレーする経験が、各選手を大きく成長させる糧になる。

 明日25日の第3戦(札幌ドーム)からは、地元の大声援をバックに戦う利もある。指揮官は「今年1年やってきた野球、自分たちの野球がやれるように。北海道に帰って、ファイターズらしさが見せられれば」。本拠地で仕切り直し、必ず、また真っ赤な広島に帰ってくる。【本間翼】