功罪生んだ大きすぎる存在 落合GMが中日退団

中日落合博満GM

 中日は20日、落合博満ゼネラルマネジャー(GM=63)が契約切れとなる来年1月限りで退団すると発表した。

<記者の目>

 落合氏の存在の大きさが功罪を生んだ。そんな3年間だったと思う。昨オフだけで山本昌、谷繁元信、和田一浩、小笠原道大の名球会4選手に川上憲伸、朝倉健太らが引退や退団。功労者に引退の道筋をつける「汚れ役」は、彼らと苦楽を共にした元カリスマ監督でないと簡単には進まなかった。就任早々、球団の要望に応じて契約更改で約8億円のコストカットも断行した。

 だが反動は大きかった。スターが消えれば観客は減り、年俸が下がれば選手の士気が下がる。他球団やアマ選手からも厳しい目で見られる。GM中心で行ってきたドラフトは、昨年までの2年で15人獲得したうち高校生は1人だけ。即戦力を大量指名したにもかかわらず、今年最も活躍したのが高卒の小笠原。ほかは誰も1軍に定着できていない。そんな状況下で谷繁前監督を引責解任したため、落合氏への批判も膨らんだ。

 監督としては勝利至上主義を貫いた。老舗球団を「オレ流」に染め上げ、リーグ優勝4回と日本一1回を達成した。しかも白井オーナーとは一枚岩だった。球団内の誰もが落合氏の顔色をうかがっているように感じた。監督時代の「勝つことがファンサービス」の言葉だけが独り歩きし、球団改革は進まなかった。

 GMから職務変更する案もあったが、落合氏の名前が球団に残る限り影響力は消えない。「退団」としたのは、本当の意味で前に進むために必要な選択だった。【中日担当=柏原誠】