魔球侍!千賀、武田、森福、松井の4投手選出有力

左から松井裕、森福、武田、千賀

 3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表として、ソフトバンク武田翔太(23)千賀滉大(23)巨人森福允彦(30)楽天松井裕樹(21)の4投手が選出有力であることが10日、分かった。侍ジャパンは昨年末に1次メンバー18人を発表。アストロズ青木宣親外野手(35)を加え、19選手が決まっていた。個性豊かな実力派投手を加え、世界一奪還を目指す。

 武田、千賀、森福に松井裕。バラエティーに富んだ左右の4枚が、侍ジャパンの有力候補に入った。昨年末に19選手を発表した小久保監督はじめ首脳陣は、今月下旬のメンバー発表を目指して検討を重ねている。4投手の評価は高く、投手陣のバランスを見渡しても招集される可能性は十分にある。

 武田と千賀は先発候補として期待される。ともに角度と球威を両立させた直球を軸とする本格派。武田はカーブ、千賀はフォークボールと大きく縦に割れる決め球を持っている共通点もある。強振する選手が多い国際試合では、高低をフルに使い三振を奪えるスタイルが有効。千賀はブルペンの経験も豊富で抑え候補としても十分に計算できる。

 抑えの確立は、侍ジャパンにとって大きなテーマだ。当初はカブス上原に9回を任せる構想を立てていた。しかしカ軍側からストップがかかり、無念の不出場が決まった。先発陣は7~8人で、各試合ダブルで用意する。発表されているメンバーで、ストッパーを専任している投手はいない。奪三振率が高い則本や大谷、前回WBCで抑えを任された牧田も候補になるが、2年連続で30セーブ以上を挙げた松井裕にも、当然、9回を託したい意向がにじんでいる。

 抑えにバトンを渡す重責を担うのが森福だ。経験豊富な変則左腕で、右の変則である秋吉との両輪でフル回転が期待される。本格派に技巧派、若手にベテラン。あらゆる状況に対応できる投手陣で世界に挑む。

 ◆千賀のお化けフォーク 打者の手元で高めのストライクゾーンからボールゾーンへ揺れながら消えるように落ちる。握りは浅め。ホームベースにたたきつけるイメージで投げる。最速156キロの直球との落差を生かし、通算275イニングで奪三振は316個。

 ◆武田のカーブ 14年の阪神との日本シリーズで一躍脚光を浴びた。縦にドロンと落ちる。2種類のスライダーを投げるなど、ほかの球種も自在に操ることができる。手先が非常に器用で、他球団の投手からもボールの握りを聞かれることが多い。

 ◆森福のスライダー 左打者の外角に真横に逃げていく。投球時に体をひねり、やや一塁側に踏み出すことで、角度をつけ、ボールの出どころを見づらくしている。制球力にたけ、ストライクゾーンへの球の出し入れで勝負する。強心臓で満塁のピンチでも動じることがない。

 ◆松井裕のスライダー 桐光学園時代は曲がりの大きいスライダーが代名詞だった。プロ入り後は「曲がりが大きすぎて見極められた」と、鋭く、打者の手元で曲がるように改良。守護神を託された15年からはカットボールも併用。「攻略される前に工夫しています」と進化を続ける。