巨人阿部が愛のノック「新化」へ外野挑戦岡本を導く

右打席でノックを打つ阿部(撮影・横山健太)

 巨人阿部慎之助内野手(37)が、外野コンバートの可能性がある巨人岡本和真内野手(20)に“愛のノック”を浴びせた。1軍の宮崎合同自主トレ最終日となった30日、岡本のノッカーを買って出た阿部は実戦さながらの多彩な打球をちりばめた。プロ通算2000安打達成まで83本に迫ったベテランと3年目の飛躍にかける若手が、ともに充実のオフ期間を終え、いよいよ明日1日のキャンプインを迎える。

 強い逆風を切り裂く強烈な打球に岡本がグラブを伸ばした。阿部が「よしっ、俺が打つよ」と、球団スタッフに代わりノッカーを務めた。1人孤独にノックを受けていた岡本に周囲の視線が集中した。前へ、後ろへ、右へ、左へ…。ライナーでぐんぐん伸びたかと思えば、今度は高く打ち上げる。右打ちながら“実戦モード”の打球を約10分間、フィールドに散らした。

 今季から高橋監督が外野コンバートの構想を持つ岡本にとって、自主トレの総仕上げとも言える練習だった。「生きた打球でした。いろんな打球が飛んできた。試合だったらもっと伸びてくる打球もある。いい練習になりました」と汗びっしょりで振り返った。持ち前の打力を生かすため、外野手への意識も必要だ。阿部の飛球は、本格的な特訓への合図だった。

 「チームが勝つ」を最大テーマに自主トレ期間を過ごしてきた阿部も同様だった。1月は米グアムに正捕手筆頭候補の小林を同行させ、自身の経験を惜しみなく伝えた。この日の岡本へのノックも「打ちたかったから打った」と言うが、後輩に対する愛情と熱意の表れだ。一方で「まずは自分のことをしっかりとやらないといけない」と開幕に出遅れた昨季と同じ轍(てつ)を踏むまいと、慎重かつハードトレーニングを敢行。12月以降はほぼ無休で体を動かした。

 高橋監督が定めたチームスローガンは「新化」。3年目の岡本ら若き戦力が新たに加わるために、ベテラン、主力が教え導く。首脳陣も今日31日に宮崎入りし、必勝祈願に向かう。チーム一丸で頂点を目指す、戦いに向けた本格的な準備が、いよいよ始まる。【為田聡史】