阪神ドラ1大山8日デビュー 金本監督、対応力絶賛

金本監督が見守る中、特打で打ち込む大山(撮影・上田博志)

 「男前」ルーキーは、持ってる! 阪神のドラフト1位、大山悠輔内野手(22=白鴎大)がキャンプ初日の1日に主役の座を奪った。新人ではあまり例がない「初日の特打」も敢行し、宜野座球場に12本の柵越えを刻んだ。金本知憲監督(48)も30分間、付きっきりで指導し雰囲気を大絶賛。8日に予定される紅白戦で、実戦デビューする可能性が高まった。

 金本監督はまるで吸い込まれるように、後ろに立った。全体練習が終わると、大山が特打を開始。打撃ケージは3カ所に設置されているが、ドラフト1位が移動するたびに指揮官も位置を変えた。放物線を描くと、時折、大きくうなずく場面もあった。ほれた。

 「打っている雰囲気は、持ってるな、という印象は受けた。打席での打撃フォームのシルエットはいい打者の雰囲気を持っている」。糸井やキャンベルら新戦力もいる2年目の春季キャンプで、「男前」ルーキーが主役の座に躍り出た。

 指揮官が絶賛したのは、対応力だった。打撃練習中に、こう声をかけた。「試しでいいから、トップ(の位置を)深くして、打ってみたら?」。その直後に、打球はオーバーフェンスした。「振る力、全体的な体力、スイングスピードは去年の高山より劣っていると思うけどね。でも対応力というのはすごくある。順応性を持っている」。右膝の使い方もアドバイスを送った。30分間の特打で、付きっきり。魅力を感じたからこその直接指導だった。

 鳴尾浜での自主トレで室内打撃を視察し、素材の良さは確認していた。それでもキャンプ前には、新人選手は慎重に練習させる方針を掲げていた。能力の高さが、プランの軌道修正を強いた。新人野手がキャンプ初日に特打に取り組むのは、03年自由獲得枠の鳥谷くらいしか例がない。大山はフリー打撃と特打で合計162スイングし、12本の柵越えを記録した。

 「(監督の指導で)すごくいい感じの打球が飛んでいたので、しっかり続けていくことが大事。忘れないように、この後の時間を使っていきたい。雰囲気だけで終わらない選手になりたい。結果を残せる選手になりたい」。指揮官の絶賛を伝え聞いても、表情を緩ませることはなかった。

 金本監督は力を込めて言った。「実戦で、対応力がどのくらいのものか見てみたい。紅白戦で使うでしょう。ケガがなかったら」。当初よりも前倒しで、8日の紅白戦に実戦デビューする可能性が浮上。将来の大砲候補がわずか1日で、評価を急上昇させた。【田口真一郎】