神々からの力を蓄えた。巨人阿部慎之助内野手(37)が宮崎キャンプ初の1軍休日となった3日、九州最大のパワースポットで「神々のふる里」と言い伝えられている宮崎・高千穂町を訪れた。プロ通算2000安打まで残り83安打と迫っており、今季中の大台到達に期待がかかる。「球界の神々」を頭に巡らせながら大台までの道を進む。
神秘的な光景に身も心も引き締まった。宮崎、熊本、大分の県境に位置する高千穂峡。阿部は、断崖がそそり立つ峡谷の船着き場から、貸しボートに乗り、日本の滝百選に指定されている「真名井の滝」の真下に向かった。マイナスイオンを全身で浴びる。キャンプインの緊張感で凝り固まっていた筋肉が徐々にほぐれる。エメラルドグリーンの水面をオールでこぎ“水面散歩”を満喫した。
「神々のふる里」を代表する高千穂神社にも立ち寄った。樹齢800年の御神木の太さに驚愕(きょうがく)。幹周約9メートルの大木を前に野球人としての考えを巡らせた。
阿部 野球界にもすごい神様がたくさんいる。打撃は川上さん、スターは長嶋さん、王さんは本塁打、柴田さんは走塁。自分には神様と言われるような能力はない。後輩たちから語り継がれるような存在になることを目指したい。
巨人の生え抜きとして2000本安打を達成した4人の神様の名を挙げた。大先輩たちの実績は、伝説となって後世まで語り継がれる。到底、簡単に肩を並べられるとは思っていないが、頭の中には常に目標としてある。「そんなに先のことばかり考えていない。まずは目の前のこと。レギュラーだって確保されているとは思っていない」としつつも「2000本安打という1つの節目は、日々の積み重ねの結果だと思う。自分の中で大きな結果といえば、そうなるかもしれない」と付け加えた。
一塁手に専念して臨む今季は、打棒が最大のチームへの貢献度として直結する。「打たなければ何も始まらない。打つしかない」と役割を理解している。プロ入りからここまでの16年間も攻守ともに神懸かり的な活躍で勝利へとけん引したきた実績がある。阿部が「神の領域」へと突き進む。【為田聡史】
<巨人4人の神様>
◆打撃の神様 川上哲治(故人)は卓越した打撃技術で「打撃の神様」と称された。「打つポイントでボールが止まって見えた」は名言。史上初の2000本安打を達成した。監督としても不滅の9年連続日本一。
◆スターの神様 長嶋茂雄はスーパースターとして君臨。走攻守に華麗で無類の勝負強さを兼ね備え、太陽のような明るいキャラクターで国民を熱狂させ、プロ野球人気を確立させた。
◆ホームランの神様 王貞治は1本足打法を武器に世界記録となる通算868本塁打をマーク。756号でハンク・アーロンの当時のメジャー記録を抜いた。シーズン55本塁打も13年にヤクルト・バレンティンが60本を放つまで長くプロ野球記録を堅持した。
◆盗塁の神様 柴田勲の通算579盗塁は歴代3位で、今もセ・リーグ記録として残る。赤い手袋はトレードマークでスイッチヒッターとしても15年の楽天松井稼頭央が果たすまで、唯一の2000本安打達成者だった。