WBC胴上げ投手大塚晶文氏、大谷に復活への助言

厳しい表情でストレッチをする日本ハム大谷(撮影・菅敏)

 第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表の守護神を務め、胴上げ投手になった大塚晶文氏(45)が、右足首痛で3月の同大会不参加となった日本ハム大谷翔平投手(22)に、復活へのアドバイスを送った。現役時代に6度の手術を経験するなどケガに苦しんだが、その都度、復活への闘志を燃やした。リハビリ中のメンタルコントロールなど、実体験を基にエールを送った。

 トレーナーと伴走する大谷へ、熱い視線を送る男がいた。中日から派遣され、今季はパドレス傘下3Aのコーチを務める大塚晶文氏。06年第1回のWBCで胴上げ投手となりメジャーでも活躍したが、ケガに苦しめられた野球人生。状態が上がらず、「目標を見失っている」と話す大谷へ、力強いメッセージを語った。

 大塚氏 自分ばかりにならないこと。もっとつらい人がたくさんいる。体が動かなくて頑張っている人もいる。ケガは時間がたてば治る。メンタルを上向きに、プラスを見つけた方がいい。

 日本人最初の、WBC胴上げ投手。だがその後は右肘痛に苦しみ、6度も手術を受けた。大好きな野球が全力でできない苦しさは理解できる。だからこそ、無駄な時間ではないと説く。「この後のプレーヤー、指導者となったとき、いまこの経験は役立つと思う。それに、克服して復帰することで、(同じ苦しみを持つ人に)勇気を与えられる」と、エールを送った。

 大谷はこの日も、ランニングやキャッチボールなど別メニュー調整。室内でのティー打撃など、大半がグラウンド外のメニューのため「ひきこもりになっている」と自虐的に笑うが、ダッシュの強度は少しずつ上がっている。「今の範囲ではこなせています。開幕までにどこまで上げられるかわからないけど、シーズンで活躍できるようにしたい」と見据えている。

 代わりに侍ジャパンに選出が決まったソフトバンク武田へは、メールで連絡を取った。「(自分も)1回は選ばれている。テレビの前で、しっかり応援したいなと思います」。大塚氏が話すように、侍ジャパンの奮闘もメンタルをプラスに持っていく要素のひとつ。仲間が世界一へ近づくとともに、自身も復活への階段を駆け上がっていく。【本間翼、木下大輔】