広島緒方監督、戸田に激怒2軍通告「がっくりした」

第1クールを終え総括する緒方監督(撮影・清水貴仁)

 17年の初カミナリ、怒りの強制降格じゃ! 広島緒方孝市監督(48)は5日、戸田隆矢投手(23)に2軍降格を告げた。左肘の不安と調整遅れが見られたため決断。チームに手薄な左腕の中で期待された存在だけに、指揮官は怒りを抑えきれなかった。完全ノースロー調整で練習メニューを消化した戸田は7日から宮崎・日南の東光寺で練習を行う2軍キャンプに合流することになった。

 大幅なメニュー変更なく、5日間の第1クールを終えた。緒方監督は選手の順調な仕上がりに納得の表情を浮かべた。だが、そんな優しい表情は一変。怒りを押し殺したような表情で、自ら戸田に2軍降格を告げたことを明かした。

 「肘に不安があるみたい」とした上で「日が進むごとにどんどんメニューが流れていく中で、ついていけそうにないなと。正直、キャンプを送れる体じゃない。2月の体じゃない。1月の体の状態。12月、1月で何をしてきたのか。1年目の新人じゃないんだから」と一気にまくしたてた。「離脱」ではなく「降格」だと強調した。

 肘の不安も降格の大きな理由の1つ。だが、それ以上に、キャンプ初日からの動きが指揮官には物足りなかった。初日のブルペンから体のキレを欠き、前日4日のフリー打撃登板では、打者2人に45球のうちボール球が13球、安打性8本を浴びる内容だった。この日はキャッチボールを行わずノースロー。順調に段階を上げていく他の選手に置いていかれる姿に「戦力として考えているだけに、がっくりした」と指揮官の我慢も限界に達した。

 全体練習後に戸田を呼び、首脳陣の控え部屋で約25分、2人で面談した。戸田はチームに手薄な左腕で、開幕ローテーション候補にも挙がっていた。期待が大きかった分、緒方監督の失望も大きかった。「この時期に入れ替えなんてしたくない。そうせざるを得ない結果を本人が招いた」と指揮官。大きな荷物をまとめた戸田は「しっかり治して、また頑張ります」と言葉を絞り出した。

 7日からは2軍も同じ宮崎・日南でキャンプをスタートさせる。全選手がそろう第2クールを前に指揮官の下した厳罰が、連覇を目指すチームにほどよい緊張感と危機感を与えた。【前原淳】