巨人長嶋終身名誉監督「勝つ」4連発でチーム鼓舞

巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(左)は「勝つ勝つ勝つ勝つ!」とナインを鼓舞。右から坂本勇、井端コーチ、高橋監督(撮影・たえ見朱実)

 元気があれば、優勝もできる!! 巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏(80)が11日、宮崎キャンプを視察。首脳陣、選手に対して訓示を行い、名文句の「勝~つ!」の唱和を求めて、全員で連呼した。前評判で元気のなさを指摘されていたことを受けて「もっと元気を出そうじゃないか」とミスターの魂を注入。3年ぶりのリーグ優勝、5年ぶりの日本一奪回へ、巨人の象徴的存在も一体となって突き進む。

 宮崎の澄んだ青空へ、独特の甲高い声が響いた。左拳を突き上げる。「勝~つ!」。長嶋氏が先陣を切って発声し、高橋監督、野手陣らが唱和した。全員で「勝つ、勝つ、勝つ、勝つ!」と4度叫んだ。すぐさま投手陣の待つ室内練習場に足を運び、今度は輪唱のように音頭を取り「勝~つ!」「勝つ!」と4度、選手と応酬した。

 94年の伝説の「10・8決戦」のミーティングで生まれた名フレーズ。監督から退いた後も、節目に発信してきたが選手らと一体となって叫んだことはない。長嶋氏はその心を答えた。

 長嶋氏 元気がないという声も周りから出ていた。(キャンプ)中盤から後半にかけて、もっと元気を出そうじゃないかと。監督、コーチ、選手、僕も一緒になって「勝つ、勝~つ」をやった。

 キャンプを視察するOBの評論家から「元気がない」とムードを危惧する声が上がっていた。日本の元気の象徴ともいえるミスターが自ら輪に入り、払拭(ふっしょく)するように大声を絞り出した。

 自らも「元気ハツラツ」をアピールした。10時半ごろに球場に到着し、グラウンドで阿部とあいさつ。左手をグイグイ引っ張るように力強く握手した。高さ2メートルの監視塔の通称「原タワー」にも登り、打撃練習をチェック。ブルペンでは杉内、大竹寛、山口鉄、内海らの投球を見守り、言葉を交わした。大竹寛の時は1球限定で右打席に立ち、力強い直球に「ホ~!」と感嘆の声を上げた。「杉内は非常に良かった。ボールの回転がいい。大竹は今日はまたすごいね! 怖かった~」と天真らんまんにおどけた。

 ブルペン視察に集中し、紅白戦観戦は2回途中から。計5時間、精力的にナインの動きを観察した。坂本勇は「いつもパワーを頂いています」と、あらためてオーラを実感。高橋監督も「特別な存在。グラウンドに来てもらえるとありがたい。選手も声を出すことで意識がより強まる」と感謝した。

 覇権を手放した月日が増えてきた。長嶋氏も「今年は巨人にとって勝たないといけない年」と不退転の1年に位置付けた。ミスターのこの日の雄たけびが、秋空に巨人軍の歓喜の絶叫へと変わる。【広重竜太郎】