巨人高橋監督がミスター魂注入 伝統の鬼ノック復活

居残り特守で阿部(手前)にノックする巨人高橋監督(撮影・横山健太)

 元気を再注入だ! 巨人高橋由伸監督(41)が16日、春季キャンプでは初のノックを行った。井端内野守備走塁コーチと交互に1時間、計347球を一塁阿部、三塁村田、遊撃坂本勇に浴びせた。11日には宮崎キャンプを訪問した長嶋茂雄終身名誉監督(80)から「勝つ、勝つ、勝つ、勝つ!」と元気の注入を受けた。この日は監督自ら、就任直後の15年秋季キャンプ以来となるノッカー役を務め、さらに一体感を高めた。

 高橋監督が声を張り上げた。「ハイ、勇人!」。全体練習後の特守での、ファーストスイング。ボールを右手でポンと上げてノックバットを振り下ろすと、打球は小フライとなって坂本勇の前に飛んだ。「ヘイ、ノッカー!」と阿部、村田、坂本勇が一斉に叫んだ。和やかムードで幕開けした指揮官のノックは、時間がたつにつれ、打球も声もヒートアップした。

 村田 坂本に優しいと思います!

 坂本勇 サードを動かして、もっと!

 村田 WBCがあるからあっちを動かした方がいいよ!

 高橋監督 ケガをされたら困る!

 沖縄の厳しい西日が照りつける中「ハイ、修!」「ハイ、慎之助!」と選手を右へ左へ走らせた。笑いと拍手につつまれた1時間。3選手のユニホームは土で真っ黒に汚れた。計347球のノックを浴びせ終えると「たまたま主力が特守を受けるタイミングと合った。捕る方はもっと疲れたと思うけど打つ方も疲れました」と、充実した表情を浮かべた。

 キャンプ序盤、チームはOBらから元気のなさを心配されていた。11日に長嶋氏からミスター魂を注入されると、少しずつ変化が生じていた。そこに、巨人伝統の指揮官から主軸への期待を込めた「鬼ノック」を復活させた。自らが一緒に汗を流して情熱と元気を注いだ。声を張り上げて横っ跳びをする主軸の姿に「まだまだ力のある選手たちですし、彼らが元気だとチームにとって大きな存在。若手がもっと刺激を受けてくれればいいと思う」と、うれしそうに目を細めた。

 今日17日の休養日があけると、18日の韓国・サムスンとの練習試合から実戦が始まる。「味方とする紅白戦とは違うし、ある意味やりやすさもあると思う。結果として少しでも見せてもらえれば」と望んだ。元気をさらに上積みした巨人ナインの、激しいサバイバルの幕が開く。【浜本卓也】