ソフトバンク高橋純平が内川を見逃しK 開幕枠前進

紅白戦で先発し、2回無失点と好投したソフトバンク高橋(撮影・梅根麻紀)

 15年の高校生NO・1右腕が、いよいよ本領発揮だ! ソフトバンクの2年目高橋純平投手(19)が、3連続奪三振で猛烈アピールした。16日、宮崎キャンプの紅白戦に先発し、2回をパーフェクト投球。長谷川勇、内川をいずれも見逃しで、吉村は空振りで三振に斬った。この日の最速は149キロ。最速154キロの15年ドラフト1位が、松坂らと競う開幕ローテに殴り込みをかける。

 スタンドがどよめいた。高橋は5球で2死を奪うと、長谷川勇に外角146キロ直球で見逃し三振。打撃職人が「まさか」という表情を浮かべた。続く2回も先頭の内川に真っ向勝負。4球目にこの日最速の149キロを計測した。最後は低めのスライダーで見逃し三振。悔しそうに内川が天を見上げた。さらに吉村も147キロ直球で空振り三振。中軸に対し打球を前にすら飛ばさせなかった。

 「思い切り投げれば、内川さんからもカウントが取れて、三振を取れた。うれしかった。気持ちよかった」。この日は腕を振った。12日のシート打撃では、結果を出そうとストライクを取りにいくあまり球威が落ち、打者8人で3安打1四球と打ち込まれた。倉野投手統括コーチからは「お前の長所は何だ?」と厳しい言葉を投げかけられ、原点に戻ったマウンドだった。

 普段の柔和な表情は消え、荒々しく闘志をあふれさせた。倉野コーチは「今日は気持ちが結果以上に見えた。スケールの大きな投手になってほしいので、まだ満足はしていませんが」とメンタル面での成長を評価した。昨秋キャンプからインステップの悪癖を修正。投手板の踏む位置も一塁側から三塁側に変え、球威が増すよう取り組んでいる。

 初のA組(1軍)に抜てきされた今キャンプの2日目、ノックのボールが左目を直撃。目の周りは青くアザになった。「腫れて(目が細い)師匠に顔も近づけましたよ」と、先輩の武田を笑わせた。武田からはプライベートでもかわいがられ、2年連続2桁右腕の技や考え方も伝授されている。

 5、6番手の先発争いは激しさを増している。昨年9勝の東浜、ベテラン摂津、松坂、若手もドラフト1位田中とライバルは多い。それでも、最速154キロ右腕の評価は高まるばかりだ。工藤監督は「投手陣は(開幕1軍は)最大13人だが、次もチャンスはある」とうなずいた。1年間じっくりファームで育成された高橋が、その真価を発揮しはじめてきた。【石橋隆雄】