阪神1位大山12の0 金本監督「まだアマチュア」

阪神対サムスン 4回裏阪神無死、遊ゴロに倒れベンチへ戻る大山。右は金本監督(撮影・宮崎幸一)

 ノーヒットでも雰囲気がある! 阪神ドラフト1位大山悠輔内野手(22=白鴎大)が16日、韓国・サムスンとの練習試合(宜野座)に8番三塁で先発し、4打数無安打に終わった。これでチーム初実戦となった8日紅白戦から4試合で計12打数無安打と苦しんでいる。それでも金本監督は「打つと思うよ」と、大器の潜在能力を信じる。プロ初安打、初アーチへ、壁をぶち破ってくれ!

 ウソだと言ってくれ…。大山はエッと表情を硬直させ、体も固まらせ、目で審判に訴えた。7回無死の4打席目。1ボール2ストライクから、左腕イ・スミンの内角131キロ直球系にバットが動かない。ストライク、ボール、どちらとも取れる1球の結果は見逃し三振。これで実戦計12打数無安打となった。

 大山 ヒットが出れば、すごく楽になっていたんですが…。

 チーム初実戦の8日紅白戦から4試合連続でスタメンに名を連ねながら、Hランプをともせずにいる。「当てにいく打撃をしていたから、しっかりしたスイングをしていきたい」。表情には悔しさがにじむ。第4クール初日。疲れがピークに達する時期でもある。そんな新人の胸中を気遣うように、金本監督は語り始めた。「まあ、まだアマチュアという目で見てやってよ」。厳しい指摘が続くかと思いきや、期待の大きさをあらためて口にした。

 金本監督 テークバックでも、そんなに前にいかんしね。しっかり後ろに残っている。雰囲気、あるよ、ステップの取り方とか。スイングスピードがついてきたら、打つと思うよ。

 課題は少なくない。まずはスイングスピード。指揮官は「遅いでしょ。まだまだ、そこらへんはアマチュアですよ」と苦笑いする。スイングする際に右膝が伸びてしまい、パワーが伝わらず、確実性を欠く癖も矯正中。「できたりできなかったり、だね。膝が曲がって回ってこないと、腰が入らない。まだまだダメですよ」。そんな状況でも打球の角度、間の取り方などに長距離砲としての魅力を感じる。もちろん、まだ1、2軍振り分けの時期でもなく、首脳陣の出場機会を与える方針が揺らぐことはない。そんな中でも本人は必死だ。試合後の特打では109スイングで柵越え3本。右腰の使い方を意識し、素振りを繰り返した。

 大山 疲れが出てくるのは当たり前。その中でどれだけ動けるかが大切になる。(特打は)キレを出すとか、体が開くのを抑えるとか、バットの軌道を(意識して)やりました。イメージに少しでも近づけるようにしたい。

 恩を返したい。思いは言葉にするまでもない。【佐井陽介】