ヤクルトの「イチ斬り男」ブキャナン、先発ローテだ

キャッチボールで力強いボールを投じるヤクルトのブキャナン(撮影・足立雅史)

 「イチ斬り男」が変幻自在投法を披露した。ヤクルトの新外国人デービッド・ブキャナン投手(27=フィリーズ3A)が16日、フリー打撃に初登板。サイドスローを交えて上田、谷内に50球を投げ、安打性の当たりを5本に抑えた。フィリーズ時代の15年にイチロー(マーリンズ)を三振させた男が、先発ローテ入りをアピールした。

 上投げのブキャナンが48球目に突然、腕を下げて116キロのカーブを投げた。「たまに投げている。打者に対して何かを変えようと思った時に試合で交ぜていた」。上投げの最速は142キロ。「打者がどう反応するか見たかった」というフリー打撃初登板の機会を存分に生かした。真中監督は打者目線で「嫌だと思う。全部(フォームが)同じじゃないと。そういうのは武器になる」と変幻自在投法を評価した。

 15年のフィリーズ時代、投手コーチから助言を受け「試したらいい感じで投げられた」と編み出した。同年10月4日のマーリンズ戦。5回2死一塁でイチローと対戦し、カウント2-2からカーブで三振に斬った。この試合はイチローが大リーグ初登板した試合で、ブキャナンにとってはメジャー最後の登板となったが、6回2/3で自責点1と好投していた。

 先発候補の好投に、ネット裏の007も高評価を与えた。中日善村一仁スコアラーは「カット、ツーシーム、チェンジアップがよく動いていた。広島の黒田みたいにフロントドア、バックドアを使って。(サイドスローは)ブルペンでもやっていたし、目先が変わる」。阪神嶋田宗彦スコアラーは「ブルペンと同じでコントロールがいい。サイドは打者としては、いつくるかなと残るでしょう」と、昨年3Aで10勝している右腕を警戒した。

 スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップと全球種を試した。自己評価は「思っていた通りに、低め、コーナーに投げられた」。今後は23日の楽天戦(浦添)で実戦初登板する予定だ。【斎藤直樹】

 ◆デービッド・ブキャナン 1989年5月11日、米国生まれ。ジョージア州立大から10年ドラフト7巡目でフィリーズ入団。14年大リーグデビューし、通算35試合で8勝17敗、防御率5・01。右投げ右打ち。超美人のアシュリー夫人(26)は小学校教師。今季推定年俸8800万円。