斎藤佑樹「勝負できる」今季から復活ツーシーム武器

観戦に訪れた、左から木田偽夫、似関本賢太郎、桑田ます似、リトル清宮と写真に収まる日本ハム斎藤(右端)

 新背番号「1」で心機一転、今季にかける日本ハム斎藤佑樹投手(28)の生きる道が見えた。16日、韓国・KIAとの練習試合(名護)に2番手で登板し、失策が絡んで失点こそしたが、2回を内野安打1本、自責点0に抑えた。武器は今季から持ち球に復活させたツーシーム。狙い通りにゴロを打たせ、最速142キロを記録した同球種で空振り三振も奪った。

 走者を2人背負った斎藤は、今季への覚悟を1球に込めた。4回から登板し、1死一、二塁のピンチ。韓国・KIAの左打者・李仁行を速球2球で追い込むと、最後は低めのツーシームで遊ゴロに仕留めた。「ゲッツーを狙いにいきました。自分の一番勝負できるボール」。野手の失策で併殺は取れなかったが、今季の投球スタイルが確立された証しだった。

 ここ2年ほどは「自信がなかった」と封印してきたツーシームだが、今季は投球の軸にしようと、昨秋から改めて磨いてきた。三塁側を踏んでいたプレートの位置も、真ん中に変更した。「ほんの少しですけど、景色が違う」と実感。ツーシーム、カットボールを生かすために施したアレンジだった。

 5回はわずか11球で3者凡退。最後もこの日最速の142キロツーシームで空振り三振を奪った。「ブルペンではよくても、試合に入ると力んでしまったりする」。アリゾナから沖縄への気候の変化で、ボールの曲がり具合にも違いはある。すべてに満足はしていないが、それでも2回1安打で自責点0。「自分の中では整理して、少しずつ前に進んでいると思う」と手応えもある。

 大谷の復帰時期が不透明な先発ローテーションとはいえ、有原、高梨やメンドーサ、エスコバーの両外国人、さらに新戦力の村田や2年目加藤ら、争いは激しい。栗山監督は、ツーシームで新たな覚悟を見せる斎藤に「この感じだったらいけるんじゃないか」と評価。開幕ローテについても「(いい意味で)この時期にこんなに苦しむと思わなかった」と、うれしい悩みを抱えている。

 実戦2試合、4イニングに登板し自責点は0。斎藤は「何度も言っていますが、結果を出していくしかない。たくさんチャンスをもらえるわけではない」。連覇を狙う日本ハムの投手陣。昨季未勝利の斎藤の充実は、チームの大きな戦力になる。【本間翼】

 ◆日本ハムの開幕ローテーション争い エース大谷が右足首痛で、野手での開幕を目指しているが3年連続の開幕投手は絶望視されている現状。昨季チーム最多11勝の有原、新人王獲得の高梨を中心に来日4年目のメンドーサ、新外国人左腕エスコバーが有力視される。ほか、2年目加藤、米球界帰りの村田、復活を目指す上沢、浦野、背番号変更の斎藤、ブレーク候補の石川直らが争っている。