阪神高山豪快3号 パワーアップ感じさせるキング弾

8回表阪神1死一塁、右翼に2点本塁打を放つ高山(撮影・渦原淳)

<オープン戦:中日4-8阪神>◇17日◇ナゴヤドーム

 20発間違いなしや! 阪神高山俊外野手(23)が、中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)で12球団トップに並ぶ3号2ランを放った。2年目のジンクスどころか、パワーアップを感じさせる「キング弾」。金本知憲監督(48)も、09年鳥谷以来の生え抜き左打者20発到達に大きな期待を寄せた。

 試合の流れを一変させるほどの強烈なキング弾だった。4点を追う8回1死一塁。打席には高山だ。カウント1-1から、中日の新助っ人アラウホの138キロ直球をジャストミート。打球はグングン伸び、右翼席に飛び込んだ。「しっかりスイングができたんで良かったです」。オープン戦3本塁打は、ロッテ・ダフィーに並んで12球団トップ。その1発で息を吹き返した虎打線は、8、9回の2イニングだけで8点を奪取。敗色濃厚だった試合は痛快勝利に変わった。

 高山は9回にもヒットを放ち、5試合連続マルチ安打も記録。オープン戦打率を3割5分6厘とした。昨年は打率2割7分5厘、8本塁打でセ・リーグ新人王に輝いたが、パワーアップは数字に表れている。身長2メートルの左腕アラウホとは初顔合わせだったが、甘く入ってきた球を逃さず「データがなかったんで、真っすぐを打ち返す気持ちを持っていました」。昨季左投手に対して打率2割4分2厘と苦しんだが、今オープン戦では対左で打率5割(18打数9安打)だ。

 進化は金本監督の目にも映っている。指揮官は「定期的に右打ち練習をさせて、ポイントが変わってきた」と語る。右打ち練習スタートのきっかけは、9日ロッテ戦にさかのぼる。無死満塁の好機に遊飛。試合後に「高山がねえ…。不器用だから」と注文をつけた。練習日だった11日を利用し、引っ張り特訓を敢行。マンツーマンの指導を受けた高山は一、二塁間に強いゴロを連発し「久しぶりに自分の形で打撃ができた。いい時間になりました」と手応えを感じていた。この日の1発は強引さのかけらも見られず、力強くはじき返した。金本監督との二人三脚が結果に結びつき始めた。

 阪神では、09年に鳥谷が20本塁打をマークして以来、生え抜きの左打者で20本塁打をクリアした選手がいない。指揮官も20発について「いってほしいし、もういかないけんと思う」。今年1月7日に「打率3割、20本塁打」と、プロ入り後初めて具体的な数字目標を明言した高山。20発という枠にとどまらないかもしれない。「2年目のジンクス」という言葉が当てはまりそうにない。【山川智之】

 ▼高山は今季オープン戦10試合で3本塁打。このペースで公式戦143試合に出場したと仮定すると、42本塁打を打つ計算。チーム生え抜きの左打者で年間20本塁打以上は、09年鳥谷20本が最後。30本塁打以上となると、85年掛布の40本までさかのぼる。