広島8連勝鈴木誠也初4番で猛打!侍で精神制御学ぶ

巨人対広島 6回表広島1死一、三塁、阿部の野選で生還する鈴木(撮影・たえ見朱実)

<巨人6-9広島>◇11日◇東京ドーム

 17年度版「神ってる」伝説だ。プロ5年目の広島鈴木誠也外野手(22)が、巨人戦(東京ドーム)で初の「4番」で先発出場を果たし、猛打賞と大暴れ。3点を追う6回、巨人菅野を引きずり降ろす猛攻の口火となる左前安打を放つなど、大きく勝利に貢献した。新4番を中心に、全員野球で粘り勝ち、首位広島は引き分けを挟んで8連勝だ。

 逆転勝利につながる反撃のノロシを上げたのは、22歳の4番だった。3点を追う6回の先頭だ。新井に代わり、プロ入り初の4番に入った鈴木が、菅野の外角真っすぐをたたいた。この一打から一気に同点に追いつくと、侍ジャパンのエースをKO。打者一巡して2死満塁。再び打席に立った4番は、今度は谷岡のフォークを右中間にはじき返した。2点二塁打だ。

 「4番は特に意識しなかった。1番から3番が勢いづけてくれるので、大きいのを狙わずに、そのままの流れで行けた。4番も5番も変わらない」。試合後は淡々と言うだけだった。

 開幕から全試合にフル出場。本調子でない中でも結果を残してきた。ホーム球場では全体練習前の特打、試合後のティー打撃を欠かさず、ビジター球場では「時間がない」と球場入りしてすぐにベンチ裏で特打。努力と実戦を重ね、結果に内容も伴ってきた。

 重圧がかかる試合でも「平常心」を貫いた。今年テーマとする言葉だ。ともに世界で戦った侍たちは、たとえ結果が出なくても悔しさを押し殺し、常に前を向いていた。筒香に打撃、山田に走塁など、一流の技を聞いたが、学んだのは技術だけではなかった。「そういう人たちほど見えないところで練習している」。

 昨季までは、打ち取られるとベンチで悔しさを言動に表し、爆発させることもあった。感情のコントロールは自分自身のコントロール。「見られる立場にもなった。心が乱れなければ、数字もついてくると思う」と話す。世界で得たのは、経験だけではない。

 初めての4番で3安打2打点。バットだけでなく、6回の一ゴロ野選でホームを踏んだ。直前には三盗を決めるなど足も健在。ストッパー離脱のピンチで、チームは8連勝。その中心には、背番号51がいた。緒方監督は「与えられた打順で頼もしい、たくましい結果を出してくれた。新井を抜くつもりで数字を残して、その座をつかんで欲しい」と真の4番への成長を期待する。昨季ブレークした鈴木の新たな伝説が、ここから始まる。【前原淳】

 ▼広島が今季3度目の逆転勝ちで8連勝。これで開幕10試合を消化して8勝1敗1分けの勝率8割8分9厘。広島の開幕10試合時勝率としては日本一になった84年の9割(9勝1敗)に次いで高く、セ・リーグでも7位タイの高勝率。