日本ハム清水、森本、石井一 ドラ2トリオで初連勝

日本ハム対ソフトバンク 笑顔でガッツポーズする左から清水、森本、石井一(撮影・山崎賢人)

<日本ハム3-2ソフトバンク>◇13日◇札幌ドーム

 故障者続出の日本ハムを、フレッシュマンズが救った。13日ソフトバンク3回戦(札幌ドーム)の2回、プロ初昇格初スタメン出場の5年目森本龍弥内野手(22)が初打席で初安打をマーク。チャンスを広げて2試合連続スタメンの3年目清水優心捕手(20)が、プロ初打点となる左前適時打を放った。4回にはルーキー石井一成内野手(22)にも適時打が飛び出すなど若手が躍動。ドラフト2位トリオで、今季初の連勝&カード勝ち越しを決めた。

 この一打に、かけていた。2回2死一塁。森本がプロ初打席へ向かった。5年目で初昇格即スタメン。札幌ドームの外はふぶくほどの寒さも、汗が止まらない。極度の緊張も、強い決意は見失わなかった。「このチャンスを自分のものにしたい」。バンデンハークの149キロ直球を痛烈なライナーで左前へ運んだ。待望のプロ初安打が生まれた。

 12年ドラフト2位で入団した。当時の1位は大谷。「入った時はライバル視していたけど、あのレベルはやっぱり無理」。1軍で活躍する同期の陰で2軍生活が続いた。15年12月には右手首を手術。故障明けの昨季は2軍戦で自打球が顔に直撃し、骨折。「半年くらい野球が出来なかった」。リハビリ中は、球団が鎌ケ谷で若手向けに行う座学にも真剣に取り組んだ。「ゴルゴ松本さんが来た時の漢字の話とか、すごく勉強になった」。今季はイースタン・リーグ15試合出場で3本塁打。「しっかりやっていればチャンスは来る」と、この日を待っていた。

 遅れてきた大谷世代の安打が、若くエネルギッシュな流れを呼び込んだ。続く清水も燃えた。「森本さんが打って(この試合は)負けられないと思った」と、左前適時打。森本と同学年の新人石井一も4回に左前適時打。「何か若い力で出来ないかなと思っていた」と、フレッシュなパワーがさく裂した。

 試合後は3人そろって、初めてのお立ち台に上がった。初々しく、真面目に話す姿に栗山監督は「しゃべり方、勉強しないとね」と課題を与えたが、グラウンドで見せたプレーぶりには「必死に野球をやるしかない。そういうのを、みんな見せてくれた」と、うれしそうだった。3人のフレッシュマンズも含めて、チームの若手から故障離脱した中田へ「中田さんが帰ってくるまでに借金を0にしておきます」と、力強く伝えた。

 大谷ら主力が離脱の中、今季初の連勝、カード勝ち越しで借金は4。森本は言った。「次、ファームに落ちたら、いつ呼ばれるか分からない。目の前のやることを、しっかりやります」。若くて泥臭い必死さが、きっと苦境を打破する力になる。【木下大輔】

 ◆日本ハムのドラフト2位指名 この日安打を放った3選手のほか、現行の制度に変わった08年以降、08年榊原諒投手、09年大塚豊投手、10年西川遥輝内野手(現外野手)、11年松本剛内野手、13年浦野博司投手、15年加藤貴之投手が入団している。