阪神高山決勝V打 ネコも乱入、トラの勝利アシスト

9回表1死二、三塁、高山は右前適時打を放つ(撮影・丹羽敏通)

<DeNA1-4阪神>◇13日◇横浜

 新人王の意地だ! 同点の9回、阪神高山俊外野手(23)がDeNA山崎康から勝ち越し決勝のタイムリーを放つなど3得点。9日巨人戦で代打を送られるなど下降気味だった1番が、3連勝と2位浮上を導いた。直前の梅野の打席では突然ネコが走り回るなど、珍客もトラの勝利をアシストしたか。金本阪神が今日14日からの首位広島3連戦(甲子園)に弾みをつけた。

 気迫で放った一打だった。同点の9回1死二、三塁。最高の場面で高山は打席に立った。DeNA守護神、山崎康の内角高め、ボール気味の147キロ直球を振り抜くと、詰まりながらも打球は右前に弾んだ。試合を決める決勝適時打。悩めるバットマンは一塁上で、思わず笑みをこぼした。

 「外野フライでも1点が入るので、なんとかという気持ち、それだけでした。気持ちだと思います」

 開幕カードで順調に安打を重ねていたが、ここ数試合は不調だった。安打は出るものの、自身や首脳陣が満足する打撃内容ではなかった。9日の巨人戦では、好機に代打を送られる悔しさも味わった。この日も直前の4打席は、すべて引っかけた形の内野ゴロだった。「今日打てなかったら本当にもう…。ずっと悔しい思いをするのは嫌でしたし、そういう意味でも、なんとしても打ってやろうと思っていました」。

 決勝打の直前、初球の内角高めボール球を見逃すと、バットを拳1つ分短く持っていた。プライドを捨て、苦心の末のタイムリーだ。外野へと打球が飛んだのは、7日巨人戦での中前打以来、実に15打席ぶり。値千金の一打に金本監督も「最後に何とか。ボール球だろうが、力負けしなかった。押し込んでね。これも技術のひとつだと思う。あの場面で打てるのは、バッターの価値だし。そういうところでよく打ってくれた」と褒めたたえた。

 先輩の勇姿に高山も刺激を受けている。今年から明大時代の先輩糸原がチームに加入。1つ上の先輩のガッツに尊敬のまなざしを向けている。「糸原さんはプレーに気持ちが前面に出るというか。僕にとって見習うところは多いですね」。クールな印象の強い高山だが、内面では闘志をたぎらせている。

 珍客も快打を後押ししたのか。直前の9回無死一塁の場面。梅野の打席の時に、一塁側にネコが迷い込み、試合は一時中断した。ネコは猛ダッシュ。一塁側ベンチ横のカメラマン席方向に逃げると、客席から思わず笑いも起きた。幸運のネコだったのか。高山が大きな白星を招き入れた。【梶本長之】

<阪神戦に乱入した主な動物>

 ◆ネコ(03年8月27日巨人戦=甲子園)5回裏阪神の攻撃中、アリアスの打席でネコがバックネット前を全力疾走。三塁側ベンチ屋根などもダッシュした。テレビ解説の川藤幸三氏は「虎が走るのは分かるけど、ネコが走るのはいかんでしょう」と名言を残した。

 ◆イタチ(13年8月31日広島戦=甲子園)5回表広島の攻撃が始まる直前、突然現れたイタチがグラウンドを駆け回った。先発藤浪は慌てず騒がず、6回1失点の好投。高卒ルーキー10勝の快挙を達成した。

 ◆魚(16年5月8日ヤクルト戦=甲子園)阪神の6回裏攻撃中、ヤクルト左翼手バレンティンから数メートルの地点に不審な物体が落下。約25センチの魚の死骸で、鳥が胃の中から落としたものと推測された。強烈な悪臭が漂い、係員が五重にした袋に入れ片付けた。