巨人坂本勇4安打&阿部2安打、5連敗意地で止めた

7回表巨人1死二、三塁、坂本勇は右前適時打を放つ(撮影・前岡正明)

<中日2-6巨人>◇15日◇ナゴヤドーム

 巨人が「新旧主将」の活躍で連敗を5で止めた。現主将の坂本勇人内野手(28)が5打数4安打で今季初の猛打賞。旧主将の阿部慎之助内野手(38)が2安打1打点で打線を力強くけん引した。負ければ今季初の借金生活となる危機を生え抜きの主力が救った。チームも今季最多の2ケタ12安打をマーク。負の連鎖を断ち切り、再浮上への1勝をもぎ取った。

 意地を込めた。坂本勇が両腕を目いっぱい伸ばした。2点リードの7回1死二、三塁。中日祖父江の外角ボールゾーンに沈むフォークをバットの先で捉えた。右前にしぶとく落とし、今季自身初の4安打目で貴重な追加点をマーク。なおも一、三塁から、阿部が内角直球を右前へはじき返しリードを広げた。坂本勇は「今日は投打がかみ合った。1つ勝つのが大変だと連敗中にみんな感じたと思う。1試合1試合を大事にやっていきたい」と久々の快勝に胸をなで下ろした。

 高いレベルを保ったままチームをけん引する主将を“先代”も強力援護した。開幕から4番に座る阿部は、この日を含め6試合連続安打で開幕から13試合連続出塁。07年から8年間、主将を張ってきたベテランは後輩の坂本勇に「実績もある。自分が思うようにやればいい。俺はいつでもサポートする。勇人には、主将として優勝を経験させたい」。がっちりタッグを組んで頂点に押し上げると約束した。

 阿部主将時代は6度のリーグ優勝と2度の日本一に導いた。その間は、坂本勇がプロのキャリアをスタートさせ、主力へと成長した足跡とぴったり重なる。近年の巨人は2人で引っ張ってきたといっても過言ではないだろう。一方で過去に浸るつもりはない。これから先も、勝つためには継続して強烈な存在感を放ち続ける使命を背負っている。高橋監督も「常に中心で引っ張ってくれていると感じている。今日は特に目立った」と坂本勇の推進力に目を細めた。

 首位広島と4ゲーム差の3位につける。ペナントレースは、まだ100試合以上を残し、勝負は始まったばかりだ。坂本勇は「(前カードの広島3連敗は)過去のこと。相手は強い。僕らはチャレンジャー」。阿部も「明日がもっと大事。俺らが頑張れば点が取れる」と語気を強めた。新旧主将の志に一切のぶれはない。【為田聡史】

 ▼前日無安打の坂本勇が4安打。これで無安打に終わった次の試合は2安打、1安打、2安打、4安打で、今季は2試合連続無安打がまだない。坂本勇の4安打は昨年8月19日阪神戦以来で、猛打賞は通算110度目となったが、この日は中堅へ1本、右翼へ3本。1試合で右翼方向へ3安打は16年5月20日中日戦以来4度目だ。今季の方向別安打は内野安打2本、左翼4本、中堅4本、右翼9本となり、引っ張った安打より流した安打が多い。