富士大140キロ超4投手で7連覇狙う「絶対神宮」

富士大が誇る140キロカルテット。左から村上、上島、鈴木、佐々木

 北東北大学野球が22日に岩手・雫石球場で開幕する。7連覇を狙う富士大(岩手)は、阪神からドラフト2位指名されたエース小野泰己を始め4年生の大黒柱3人が卒業し、投手陣の再編が急務だ。今春は最速140キロを超える有望3年生投手4人が台頭してきた。佐々木健(木造)鈴木翔天(向上)村上英(宇都宮南)上島迅翔(修徳)の4人がマウンドで、仁王立ちする。

 絶対王者に死角はない。投手育成に定評のある豊田圭史監督(33)は開幕前に盤石の投手陣を完成させていた。「社会人相手にゲームをつくれるようになってきた。先発も抑えも自在に組み合わせることができる。先発はオープン戦の結果を最後まで見て判断します」と満足げに構想を披露した。

 昨年はエース小野を始め、右下手の和田悠佑(現日本通運)、守護神・西村拓真(現新日鉄住金かずさマジック)の絶対的3本柱が健在だった。今春は140キロ超えの有望3年生投手4人をそろえ、先輩が築いた「3本の矢」以上に強固な「4本の矢」を形成する。

 7連覇しか見えない。最速144キロ左腕の鈴木は「先輩が抜けて相当プレッシャーがある。4年生のためにも連覇を止めるわけにはいかない」と神妙な面持ちで語った。4人の中で唯一、昨秋に先発を経験した佐々木は「ある意味チャンスと感じた。自分たちがやるしかない」と肉体改造に取り組み、75キロから最大9キロまで増量。ひと冬終えて球速が2キロ増の146キロまで上昇した。

 4人とも甲子園出場を経験していない雑草組だ。豊田監督自らが球場に足を運んで発掘してきた原石たちが、まばゆい光を放とうとしている。高校でひのき舞台を味わえなかった4人は目を見開いた。「お互い負けてられない」と火花を散らし「絶対、神宮で投げたい」と宣言した。夢の全国のマウンドは、自分の腕でたぐり寄せる。【高橋洋平】