阪神金本監督が守備ミス連発上本に「攻めていかな」

中日対阪神 腕を組みながら引き揚げる金本監督(撮影・田崎高広)

<中日5-2阪神>◇20日◇ナゴヤドーム

 虎が連夜の「守乱」に泣いた。前夜のエラーによるサヨナラ負けを引きずったのか、20日の中日3回戦(ナゴヤドーム)も勝負どころで守備が乱れた。1-1同点の7回、セカンド上本博紀内野手(30)がゴロアウトを2つ捕り損ねたのが響き、逆転負け。守りきれずに接戦を落とし、下位に沈む中日3連戦に負け越した。

 金本監督は表情から悔しさを隠せなかった。目線をジッと一点に集中させ、ゆっくりと言葉を絞り出した。1点リードの7回、3点を奪われて逆転負け。勝ち越しを許した過程が残念でならなかった。

 金本監督 まあ、守りでしょう。桑原も打たれていないし。

 先発青柳が先頭4番平田に同点ソロを献上。なおも2死一、二塁で2番手桑原が登板する。代打井領の痛烈なゴロを桑原がグラブではじき、マウンド付近で跳ねて二塁ベース右付近へ。二塁上本が回り込むも、捕球から送球までの流れがスムーズにいかずに内野安打とされた。2死満塁。今度は1番京田のゴロが一、二塁間に転がる。上本が素早く打球に追いついたまでは良かったが、バウンドが合わなかったのか止められない。痛恨の右前2点打で完全に流れを明け渡した。

 金本監督 その前の(井領の)プレーがあって消極的になって、ああいう追い方になったんだと思うけど。上本は脚力もあるんだしね。ちょっと引きずったようなプレーに見えた。そこをどんどん攻めていかないとね。

 ただ単にミスを責めたわけではない。指揮官は開幕直後、上本のミスをした後に取り返そうとする反発力を評価したことがある。今回も悔しさを引きずらず、力に変えてほしかったのだろう。紡ぎ出したコメントの1つ1つに、そんな思いが詰まっていた。

 ここまでチームはリーグワーストの16失策を喫している。前日19日は三塁鳥谷のサヨナラ失策で敗戦。この日はエラーこそ記録されなかったが、守りで防げた失点が重くのしかかっての2連敗だ。下位に沈む中日3連戦に1勝2敗。開幕広島3連戦以来となるカード負け越しを食らい、今日21日からは1ゲーム差で追う2位巨人と敵地3連戦を戦う。

 切り替えが大事になる-。そんな問いかけに金本監督は「もちろん」と力を込め、ナゴヤドームを後にした。流れが良くないタイミングだからこそ、攻め続ける心がカギを握る。伝統の一戦、虎の反発力が試される。【佐井陽介】