松井稼頭央200号 筒香流こん棒効果で逆方向弾

6回表楽天1死、松井稼は通算200号本塁打記念のボードを掲げる(撮影・今浪浩三)

<ソフトバンク2-11楽天>◇22日◇ヤフオクドーム

 今年42歳を迎える男が、偉業を達成した。楽天松井稼頭央外野手(41)が、ソフトバンク5回戦(ヤフオクドーム)の6回に、今季1号を放った。史上100人目となる国内通算200本塁打。スイッチヒッターでは史上2人目の快挙となった。チームも5本塁打を含む先発全員の15安打11得点で快勝し、首位を快走した。

 松井稼は、国内通算200本塁打のプレートを両手で掲げた。後ろを振り返ると、思わず噴き出した。笑顔の今江の姿が映った。PL学園の後輩から花束を受け取ると、恥ずかしさを隠すように小走りにベンチへ向かった。

 松井稼 200号は本当に忘れていました(笑い)。プロに入ってから、こんなにも打てると思っていなかった。ホームランバッターではないですし、自分には一番縁のないものだと思っていました。チームの皆さん、家族、そしてファンの皆さんに感謝ですね。

 節目の1発は、この日初めての左打席で生まれた。6点リードの6回1死走者なし。ソフトバンク2番手・右の加治屋との対戦。カウント1-2から4球目、外寄り143キロ直球を引きつけた。セ・リーグを代表するスラッガー、DeNA筒香をほうふつとさせる逆方向への軌道。テラス席を越え、左翼スタンドの最前列に吸い込まれた。

 そんな左の大砲から、ヒントを得た。ある日、インスタグラムを眺めていると、1本のバットの広告に目を留めた。筒香も今季から取り入れたヘッドからグリップまで同じ太さの、赤茶色のこん棒バット。通常のバットよりも芯が中央にあり、前で球を打ってしまうと芯を外し、飛ばないつくりになっている。「筒香君も練習で使っていると聞いて」とすぐに購入を決断。「体の軸がブレない状態でバットを打つことを考えて」。筒香と同じ狙いを持って、今年から試合前のティー打撃に取り入れた。

 プロ24年目、ベテランの域に入っても進化しようと模索している。以前、今江が「理想の体形は(松井)稼頭央さん。あの年でもストイックに鍛えている。頭が上がらない」と話していたように、飽くなき探求心が土台にある。挑戦をやめないからこそ、メモリアルアーチという副産物が生まれた。【栗田尚樹】

 ▼通算200本塁打=松井稼(楽天) 22日のソフトバンク5回戦(ヤフオクドーム)の6回、加治屋から今季1号を放って達成。プロ野球100人目。初本塁打は西武時代の95年8月20日の近鉄20回戦(西武)で酒井から。スイッチヒッターでは松永(ダイエー=203本)に次いで2人目。41歳5カ月で達成は75年アルトマン(阪神)の42歳3カ月に次いで年長2位、日本人選手では04年古田(ヤクルト)の38歳10カ月を抜く最年長200本塁打となった。なお、200本塁打の第1号は55年藤村富(阪神)で、98人目12年井口(ロッテ)、99人目14年福留(阪神)100人目17年松井稼と、メジャーから復帰組が3人続いて100人目を迎えた。