阪神横山、藤浪代役に「やってやろう」巨人初斬り

今季初勝利を挙げ、トラッキーと笑顔を見せる横山(撮影・田崎高広)

<巨人1-2阪神>◇23日◇東京ドーム

 阪神3年目の横山雄哉投手(23)が、インフルエンザで離脱した藤浪の代役先発で今季初勝利を挙げた。昨年5月以来の先発で毎回走者を背負ったが、要所で踏ん張り5回1失点。14年ドラフト1位左腕がチームの緊急事態を救った。打っては主将の福留孝介外野手(39)が3試合連続の初回タイムリー。投打がかみ合った金本阪神が、巨人に並び2位に浮上した。

 阪神横山が見事、藤浪の代役を務めきった。毎回走者を背負っての投球だったが、要所を締めて5回1失点。今季初勝利を挙げた。「緊張はありましたが、やってやろうという緊張だったんで、マウンドでは冷静に投げられた」。闘志を胸に、巨人打線を抑えた。

 5回は巨人立岡に中前打を許し、1死一塁から巨人坂本勇、村田を迎えた。好打者相手にひるむことなく勝負。遊直と一邪飛に仕留めた。「しっかり腕を振っていくことと1イニング1イニングを大事にと思っていました」。インフルエンザを発症して出場登録を外れた藤浪の代役先発。1軍は昨年5月以来だったが、堂々の投球で巨人戦勝ち越しを呼び込んだ。

 昨オフに結婚した新妻も関西から日帰りで東京ドームを訪れた。緊急昇格が決まった時は驚かれたそうだが「頑張ってきてね」と送り出され、勇気をもらった。愛する妻に届ける新婚初勝利にもなった。

 「どんな形でもしっかり成績を残したい」と意気込む今季。キャンプ中から開幕ローテーション候補に挙げられながらも、最終的にはメンバー入りならず。その後は腰のコンディション不良で登板回避が続いた。15日に2軍戦で今季公式戦に初先発し、5回無失点。久々の登板もあってか、試合後に腰に張りがあった。それでも藤浪の代役の話がきた時は、「いい張りだと思います」と球団関係者に直訴。この強い気持ちで1軍のマウンドに臨んだ。

 今後は藤浪と入れ替わり、出場登録を外れる方針。香田投手コーチは「若者らしく腕を振ってくれた」と評価しつつも、「実力とスタミナをつけて、技術をつけてほしい」と飛躍を期待した。横山も「まだまだ成長しないといけない」と進化を約束。次回のチャンスでも、ひと回り大きくなった姿を見せるに違いない。【山川智之】

 ◆横山雄哉(よこやま・ゆうや)1994年(平6) 2月21日、山形県生まれ。山形中央-新日鉄住金鹿島を経て、14年ドラフト1位で阪神に入団。ルーキーイヤーは0勝に終わるも、2年目の昨年は5月4日の中日戦でプロ初勝利を挙げるなど2勝をマーク。今季年俸は1570万円(推定)。183センチ、83キロ。左投げ左打ち。