元虎党DeNA浜口が甲子園初白星「父は複雑かも」

2回裏無死、浜口(左)は福留の一ゴロでベースカバーに入ってアウトにし、グラブを突き上げる(撮影・宮崎幸一)

<阪神0-1DeNA>◇25日◇甲子園

 元トラ党が、トラをやっつけた! DeNAのドラフト1位ルーキー浜口遥大投手(22)が、甲子園での阪神戦で6回2/3を無失点に抑え、2勝目を挙げた。少年時代は両親の影響を受け、阪神、そして金本監督のファン。入団時には甲子園での阪神戦勝利を目標に掲げていた。聖地での初登板で、トラ党たちを静まりかえらせた。

 甲子園のヒーローは、元トラ党だった。浜口が甲子園のマウンドで投じた99球は、阪神打線を苦しめた。6回までノーヒット。7回先頭の糸井に左前へ打たれるまで、快音を鳴らせなかった。今季2勝目。堂々たる投げっぷり。お立ち台では少し控えめに口を開いた。

 「スコアを見ながら、(ノーヒットを)気にしていなかったと言えばウソになる。すごく歓声も多くて、緊張した。でも自分の投球をしようと。野手の方々が打って、リリーフの方々が抑えて、チームで勝てた」

 序盤は直球が伸びた。1回に阪神糸井から150キロの直球で空振りを奪い、最後は再び150キロで左飛に打ち取った。テンポ良く投げ、5回までで63球。18日の広島戦で5回124球投げた姿はなかった。回ごとに並ぶ0の数。安打数も0のまま。「たぶん打たれるだろうなと思っていた。変な言い方ですけど、早く打たれないかなと思っていた。1回ずつ投げることを意識した」。序盤は投げなかったチェンジアップが中盤からまた効果を発揮した。

 昨年10月21日に指名あいさつを受けた際、ラミレス監督に宣言していた。「父が阪神ファンだったので、恩返しの意味で、阪神に勝てる投手になりたい」。好きな選手は金本監督だった。しかしマウンドでは「とにかくローテ投手として自分の投球をすることで、逆に意識することなくやれた」と無心の投球。父顕人さん(58)は単身赴任先の和歌山から観戦に訪れていた。浜口は「父は複雑かもしれない。でも喜んでくれていると思う。もう、ベイスターズファンであって欲しい」と笑った。

 7回2死満塁のピンチで降板した。「7回を投げきっていれば。ずるずるいってしまったのが、反省材料」。あと1つ取りたかったアウトが、元トラ党・浜口の伸びしろでもある。【栗田成芳】

 ▼DeNAのルーキー浜口が開幕から2連勝。DeNAの新人投手が開幕2連勝したのは11年大原慎司以来だが、大原はリリーフ登板。先発では大洋時代の92年5月3日中日戦、同9日巨人戦に勝った有働克也以来、球団25年ぶりとなった。先発で4月までに限ると、洋松時代の53年4月1、11日広島戦の権藤正利以来、球団史上2人目。