菅野が広島完封雪辱 前回KOで首脳陣に伝えたこと

9回裏広島2死、菅野は松山を二飛に打ち取り、完封勝利を決めて力強く右腕を突き上げる(撮影・松本俊)

<広島0-1巨人>◇25日◇マツダスタジアム

 絶対エースが広島を踏みつぶした。巨人菅野智之投手(27)が、2試合連続の完封で首位攻防の初戦を制した。広島の強力打線を散発4安打に封じ込めて、リーグトップの3勝目をマーク。ケーシー・マギー内野手(34)の3号ソロで奪った虎の子の1点を守り抜いた。前回、本拠地で3連敗を喫した難敵との3連戦初戦で先勝。0・5ゲーム差に詰め、今日26日にも首位を奪取する。

 菅野がホームベースに背を向けた。1点リードの8回2死一塁。田中に中前打され一、二塁のピンチを招くと、ベンチから尾花投手コーチがマウンドに駆けてきた。内野陣の輪の中で、菅野は捕手の小林に「迷わず内を突っ込むぞ」と伝えた。次打者は菊池。「今日の感じなら、内角を張られていても強くはじき返せないなと」。見立て通りに初球の内角147キロで三直に仕留め、右拳を強く握りしめた。

 1人で投げ切るという強い意志は、ベンチにも伝わった。最終回は3者凡退で悠々と1点を守り抜いた。散発4安打116球で2試合連続の完封劇。昨季のリーグ覇者相手にプロ初となるスコア1-0での完封勝利。大仕事を爽快にやってのけたエースは「やってみたかった目標の1つ。すごく気持ちがいいです」と素直に喜んだ。

 2週間前の光景と対照的だった。11日の広島戦。同点の6回2死一、三塁で菊池を迎えたところで降板を告げられた。「投げ切りたかったのが本音。自分の中では田中を歩かせ、菊池で勝負と考えていたところだった」。首脳陣に前回の意図を伝えてから臨んでいた。この日は、ベンチに迷いすら与えなかった。8回にたった1度だけマウンドに向かった尾花投手コーチを「任せるしかない。フォークとカーブにさらに磨きがかかっていた」とうならせた。

 難敵対策もピタリとはまった。続投の判断材料は投球内容そのものになる。「初球をカーンとやられると流れが悪くなる。流れを見ながらうまく攻められた」と、ファーストストライクから積極的にスイングしてくる相手打線の勢いの芽をつんだ。

 反撃のすきを与えない完封勝利で広島に0・5ゲーム差と肉薄した。今日にも首位奪取の状況をつくり出し「初戦を取って、チームもいい流れで臨める。明日からも期待してください」と仲間に思いをつないだ。エースが弱らせたコイの尻尾はすぐそこにある。【為田聡史】

 ▼菅野が18日ヤクルト戦に続き2試合連続完封勝利。菅野の完封は通算6度目で、広島戦では初。スコア1-0完封はプロ入り初めてマークした。2試合連続完封勝利は昨年4月6日阪神戦、同13日ヤクルト戦以来2度目。連続完封を2年続けて記録した巨人の投手は94、95年斎藤雅以来、球団22年ぶりになる。次回登板ではセ・リーグで89年斎藤雅(巨人)以来となる3試合連続完封を狙う。

 ◆菅野の11日広島戦VTR 5回まで5安打無失点投球も、6回に5失点で途中交代となった。先頭の鈴木に左前打を許し、四球を挟んで味方野選から初失点。2死を奪うも代打小窪に2点適時三塁打を浴び、田中へ四球を与えた直後、菊池を迎えたところで交代。救援の谷岡が適時打2本を浴び5失点となった。