阪神金本監督「お願い」40歳福留にアニキ超え指令

ストレッチをしながら笑顔を見せる福留(撮影・上田博志)

 頼む、俺を超えてくれ! DeNA戦(甲子園)が雨天中止になった26日、40歳のバースデーを迎えた阪神福留孝介外野手が、金本知憲監督(49)から愛情たっぷりの誕生日メッセージを贈られた。指揮官は「全然、上に行ってくださいよ。お願いしますよ」と懇願。自身が08年の40歳シーズンに記録した打率3割7厘、27本塁打、108打点の成績を抜いてくれとお願いされた。

 雨粒が激しい音を立てる。雨天中止の発表から数十分後。ロッカー室と室内練習場とをつなぐ通路で金本監督が両手を合わせた? 話題はこの日、40歳の誕生日を迎えた虎の4番だ。

 福留に、自身の40歳シーズンの成績を超えてほしいかと問われ指揮官は即答した。

 「全然、上に行ってくださいよ。お願いしますよ。疲労もあるだろうし。休養しながら。ケガしたら、どうしようもない。その中で、お願いですから、(記録を)抜いてください。希望しています」

 不惑の道を歩みだす福留にとって、目標にすべき身近なお手本。それが「鉄人」と評された金本監督だ。同監督は08年の40歳シーズンに打率3割7厘、27本塁打、108打点を記録。4番打者としてチームをけん引した。打者のタイプこそ違うが、チーム随一の勝負強さは2人が共通している点だ。

 今の阪神にとって、不惑の男がキーマンであることは明らかだ。今季はここまで一貫して4番で起用され、19試合に出場。64打数19安打、打率2割9分7厘、2本塁打、11打点と役割を果たしている。前カードの巨人3連戦では3試合連続で先制打を放つなど、計6打点の大爆発。3番糸井との並びもはまり、得点パターンを確立しつつある。

 キャプテン福留の存在感はプレーだけではない。練習から若手や新加入の糸井にアドバイスを送る姿が目立つ。金本監督も「選手同士の意見は全然いいと思う」と、経験を還元してくれることを期待した。

 バースデーゲームは雨に流れたが、福留の表情は明るい。室内練習場でキャッチボールやフリー打撃を終えると報道陣から飛んだ「誕生日ですね?」という質問に「そういう日もあるよ」と笑いロッカー室へと消えた。本塁打&打点はキャリアハイにも近い数字だが、指揮官の願い通り「アニキ超え」となれば、優勝にグッと近づく。【桝井聡】

 ▼金本の満40歳シーズン オフに左膝を手術し、迎えた08年シーズン。40歳となった4月3日から9日後の同12日横浜戦で史上37人目の2000安打を達成。5月13日広島戦では400本塁打、8月16日横浜戦で2000試合出場と記録ラッシュ。6月には打率4割1分3厘、6本塁打、20打点で月間MVPも獲得した。シーズン通算でも打率3割7厘、27本塁打、108打点と堂々たる数字だった。

 ◆40歳以降の金本 40歳となって以降の通算675試合、544安打はいずれもプロ野球最多。80本塁打、297打点はともに2位(最多は門田博光で、133本塁打、398打点)。全試合出場3度(08~10年に40~42歳)は最多で、09年に41歳で達成したフルイニング出場はプロ野球最年長。41歳0カ月だった09年4月8日広島戦、同10日巨人戦と、史上最年長の1試合3本塁打と、衰えを見せず打ちまくった。