ヤクルトの星だ!プロ1勝“飛雄馬以来2人目の星”

ルーキーで初勝利を挙げウイニングボールを手にする星(撮影・山崎哲司)

<DeNA5-12ヤクルト>◇7日◇横浜

 未来の「ヤクルトの星」がプロ初勝利をつかんだ。ヤクルトのドラフト2位右腕・星知弥投手(23)がDeNA9回戦で5回3失点と粘投。大量援護にも恵まれ、先発2試合目で初白星を挙げた。チームでは新人で唯一の開幕1軍入りを果たし、中継ぎで結果を残して先発転向。最速156キロの期待の素材がチームの連敗を4で止めた。

 「試練の道」を歩みきった。初めてのお立ち台。星は胸を張って答えた。「小さい子どもたちも見に来てくれているので、夢を与えられるようなピッチングをしたいと思います」。つかんだ初勝利の味をかみしめ、少しだけ表情が緩んだ。

 立ち上がりから予想外だった。1回、味方打線が打ちまくり、登板前に打順が回ってきた。バスターで一、二塁間を破る安打を放つも「キャッチボールとか準備が足りなかった」と投球に影響が出た。急いでヘルメットを脱ぎ、マウンドに上がる。しかし、先頭打者に安打を許すと制球が定まらない。2四球などもからみ、いきなり2失点。「1人1人、1イニングずつ抑える」と目の前のアウトを重ね、初回をしのいだ。

 「エース訓」を心に刻む。4月30日に先発転向後、小川に助言を求めた。調整法や心の持ち方。熱心に耳を傾ける中でクギを刺された。「まずは自分らしさを出せ。大学でやってきたモノをそのまま。出してダメなら、そこから話を聞けばいい。自分も1年目はそうだった」。新人で最多勝を挙げたエースの言葉が胸に響いた。だから星は迷わずにサインに首を振る。バッテリーを組む中村も「投手として大事なこと」と配球を任せきりにしない姿を評価する。

 強い意志があるから、「どんと」勝負した。直球狙いのDeNA打線に対し、「真っすぐが一番自信のある球」と逃げなかった。2回2死二塁で打者筒香。外角高め146キロの直球で押し込み、遊飛に打ち取った。「甘いボールがいかないように。大胆にいった」とこん身の球で仕留め、3回以降は無失点。リードを守った。

 「連敗ストッパーになる」との宣言通りにチームの連敗を4で止めた。真中監督は「今後も(先発で)投げてほしい。だけど今日の内容だと厳しい。もう1ギア上げて投げてくれれば」と完璧ではないが勝利を評価した。試合後は関内駅へと向かい、電車で帰宅。まだ高級車はないけれども、ゆけゆけ、知弥。ヤクルトの星となれ。【島根純】

 ◆プロ野球に在籍した星姓の選手 星知弥以外には05年に東北学院大から巨人へ入団した星孝典、同じく05年に前橋工から西武へ入団した星秀和しかいない。2人とも捕手として入団し、プロ野球で登板は0。「巨人の星」で星飛雄馬投手が有名だが、実際にプロ野球で星投手が白星を挙げたのは初めて。