菅野4連続完封逃すも「責任ある」8回まで志願続投

巨人対阪神 1回表、糸井(後方)に先制適時打を許し、悔しがる菅野(撮影・たえ見朱実)

<巨人2-4阪神>◇9日◇東京ドーム

 半世紀ぶりの4連続完封に挑んだ巨人菅野智之投手(27)の挑戦が終わった。初回に先頭高山の二塁打から1死三塁となり、打者は糸井。2ストライクから内角にスライダーを差し込んだ。「真っすぐ1本に張っている感じがあった。迷わず、3球勝負。中途半端な気持ちではありません」。極限で下した決断に後悔はないが、捉えられた打球は右前で弾んだ。28イニングぶりに本塁を踏まれた。

 偉業への意識は確かにあった。「(意識が)ないわけがない。ただ、点を取られて割り切れました」。以降の意識は最少失点で切り抜けることだけ。悔やまれたのは3回、福留に逆球を運ばれた2ランだった。「あれは完全に失投です」。勝敗の分岐点となった場面が苦い記憶に残った。

 6回に受けた交代の打診には首を振り、8回までマウンドに立ち続けた。「こういう展開にした責任がある。1イニングでも多く投げたかった。中軸を任せて代わります、というわけにはいかなかった」。首位阪神を迎えた本拠地戦。自身の記録など、最後は頭から消えていた。勝利のためにマウンドへ立ち続けた。

 今季初黒星で52年ぶりの快挙は逃しても、確かな事実がある。65年に4連続完封の城之内邦雄氏(77)は、50歳差の後輩エースに敬意を払う。「俺の4連続、すごい記録だったんだね。菅野の3連続で新聞を見た時に俺の名前があって、初めて知ったんだ。菅野のおかげだ」。投手の分業制が確立した現代において、プロ野球史約80年のうち半世紀をさかのぼり、光を照らした。菅野は「再来週が甲子園。やり返します」。エースの誇りは時代を超えていく。【松本岳志】

 ▼菅野は初回に2失点し、連続完封がストップ。65年9月に城之内(巨人)が4試合連続完封を達成して以降、3試合連続は両リーグで12人いるが、リリーフ登板したために記録が止まったのが3人おり、失点でストップは9人。失点イニングを見ると、初回が73年渋谷(中日)95年グロス(日本ハム)17年菅野の3人で、4回と並んで多い。