広島エルドレッド7号キング弾、再浮上へ頼れる大砲

ヤクルト対広島 2回表広島2死、エルドレッドは中越えに先制本塁打を放ち、ナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)

<ヤクルト3-2広島>◇9日◇神宮

 キング弾だ。広島ブラッド・エルドレッド内野手(36)が2回に7号先制ソロを放ち、本塁打ランキングでDeNA梶谷に並んだ。2試合ぶり先発復帰の第1打席でバックスクリーン左へ1発。チームに15イニングぶりの得点をもたらした。7回にも左前打で出場2試合ぶりに複数安打を記録。この日も延長戦の末、ヤクルトにサヨナラ負けし今季ワーストタイの4連敗と苦戦が続く中、頼れる大砲が好調を維持している。

 直前の真っすぐとの球速差24キロの126キロカーブにも、エルドレッドは体を開かず引きつけ、そして強振した。両軍無得点の2回だ。長いリーチを伸ばした打球は神宮の夜空に舞い上がり、センターバックスクリーン左に吸い込まれた。チーム15イニングぶりの得点。三塁側ベンチの雰囲気を変える貴重な1発となった。

 2試合ぶりの先発でいきなり快音を響かせた。2回の第1打席。相手は来日1年目の長身右腕ブキャナンだったが、捕手中村との駆け引きの勝負でもあった。直球系4球で追い込まれた後の5球目のカーブを捉えた。日本6年目のエルドレッドにとって、緩急を使った投球は定番の攻められ方。変化球は頭にあった。4月4日中日戦の今季初本塁打も25キロの球速差をはじき返したものだった。「甘く来たところを自分のスイングでしっかり捉えられたよ」。日本球界を熟知した打撃に納得の表情だ。

 7日阪神戦を欠場し、8日は移動のみ。休養十分だった。試合前には石井打撃コーチから「休養ないよ。今日から3つ(試合)行ってもらうよ」と日本語で告げられ「はい、分かりました」と流ちょうな日本語で笑いながら返していた。チームメートとの日常会話は通訳を介さずに行い、外野でのポジション取りも丸から日本語で受ける。昨季2軍で調整していた時期には、若手選手に打撃指導をしたこともあった。丸は「もう、ほぼ日本人ですよ」と認めるほどなじんでいる。

 広島打線がヤクルト先発ブキャナンの前に苦しむ中、7回には左前打を放った。打率も出場2試合ぶりの複数安打で3割4分に上昇。7本塁打はリーグトップの梶谷(DeNA)に並んだ。延長12回サヨナラ負けで4連敗と苦しむチームを再浮上させるとともに、自身3年ぶりのキングへ。頼れる大砲は、快音を響かせ続ける。【前原淳】