日本ハム大田2発で7発劇主役「サイコー」連発

2回裏日本ハム1死、左越え本塁打を放った大田はナインとハイタッチ(撮影・鈴木みどり)

<日本ハム15-1ロッテ>◇12日◇東京ドーム

 日本ハムが、かつての本拠地東京ドームで本塁打を量産した。ロッテ7回戦で球団タイ記録の1試合7発。打線の火付け役は大田泰示外野手(26)だ。2回に左中間へ先制2号ソロを放つと、5回には右中間へ3号2ランを運んだ。昨季まで在籍した巨人の本拠地で、真の覚醒を予感させるプロ9年目で初の1試合2本塁打。大きな流れに乗ったチームも今季最多13安打15得点を挙げ、大勝した。

 大田は試合後も爆発した。文句なしでお立ち台に立った。巨人時代の本拠地、東京ドームでの本塁打に「サイコーでした!」。初の1試合2本塁打に「ホームランはサイコーでした!」。最後はファンへのひと言を求められ、インタビュアーのマイクを右手で奪った。左拳を突き上げて「ファイターズ、サイコー!」。声は少し、裏返ったが「サイコー!」の連発で盛り上げた。

 歴史的大勝の火付け役だ。2回の先制2号ソロは失投を逃さず左中間へ。「何とかっていう気持ち」。それが打線にも伝わった。3回以降、近藤、レアード、西川がアーチをかけ、大田も5回に右中間へ3号2ラン。難敵の涌井をKOした。最後は4番中田が締め、46年ぶり3度目となる球団タイ記録の1試合7本塁打。「僕1人でやったわけじゃないので」と照れたが「サイコー!」な流れを呼び込んだ。

 こんな豪快な打撃を取り戻すことが、新天地でのテーマだった。「やっぱり、自分はホームランが魅力。それを追い求めないといけない」。巨人時代は結果を求めるあまり、安打狙いの軽打となる時もあった。「自分の持ち味は違う」と、昨オフのトレードを機に見直した。持ち味のフルスイングから放たれる、魅惑の飛距離を再び追い始めた。

 だからといって確実性を捨てるわけではない。「前の試合、タコってチームは勝ったけど貢献できなかった」と、10日西武戦の4打数無安打に唇をかんだ。この日も打撃フォームの微修正を繰り返していた。栗山監督からは試合前に「ちょっとだけ、力を抜いていきましょう」と声をかけられた。試合後は「タイシしか分からない思いがあると思う。苦しかったと思う」と気遣われた。

 チームも勢いに乗って今季最多得点での大勝。口火を切った大田は、東京ドームでのド派手な活躍にも「いろいろな思いはありますけど、もうファイターズの一員。まだまだファイターズに貢献しないといけない」。ここから大田もチームも「サイコー!」な覚醒が始まる。【木下大輔】

 ▼大田がプロ初の1試合2本塁打。東京ドームでの1発は巨人に在籍した昨年6月5日日本ハム戦で、大谷から先頭打者本塁打を打って以来。

 ▼日本ハムが1試合7本塁打。チーム1試合最多本塁打のプロ野球記録は9本(過去4チーム)だが、日本ハムでは東急時代の50年、東映時代の71年にマークした7本に並ぶ球団最多。前身球団を含め3度ともロッテ戦で記録した。71年は作道、大下、大橋、張本、大杉の5者連続(プロ野球記録)が10回表に飛び出した延長戦。9回試合では50年以来67年ぶりとなった。

 ▼日本ハムの1試合15得点以上は10年3月22日ソフトバンク戦(16-5)以来7年ぶり。