<ヤクルト3-4中日>◇13日◇松山
中日が、松山・坊っちゃんスタジアムで開催されたヤクルト戦に9回逆転勝ちした。2点ビハインドの土壇場、ダヤン・ビシエド外野手(28)が逆転6号3ラン。3回にアレックス・ゲレーロ内野手(30)が7号ソロを放っており、今季3度目のアベック弾を決めた。終始劣勢の展開だっただけに、森繁和監督(62)も試合後、開口一番「今日は勝ったの?」。勝ったぞなもし。
松山銘菓「坊っちゃん団子」のような白球が、左翼席に運ばれた。2点を追う9回、あきらめない竜党に届けと、大砲ビシエドが逆転弾だ。「ホームランが打て、逆転できて最高です!」。誇らしげに叫んだ。
ヤクルトの守護神秋吉の初球、外角高めのスライダー。「しっかり捉えられたので打った瞬間、いくと思っていた」。納得の6号3ランだった。
3回には同郷キューバの僚友ゲレーロが7号ソロを放っていた。「インコース高めのストレートにうまく反応できたよ」。こちらも左翼席中段まで運んだ。シーズン当初は不調に悩んだ両外国人が連鎖するかのように、本塁打が出ている。最近5試合で3度、両外国人が本塁打で共演。もちろん全て勝利につながった。初のアベック弾となった7日巨人戦はゲレーロからビシエド。9日DeNA戦ではビシエドからゲレーロ。この日はG砲に触発されたかのように、V砲が決勝弾をお見舞いした。
劇的すぎたのか、森監督は思わず「勝ったの? 今日」とキツネにつままれたかのようだった。それもそのはず、先発小川の前に8回まで3安打1得点。逆に先発の又吉は初回以外は6回まで全て塁上をにぎわし、10安打されながら、何とか相手の拙攻に助けられていたからだ。
「こういう勝ち方もあったんだなと思ったよ」。森監督はしみじみと言った。今季13度も逆転負けしてきたが、この日は立場が逆。ジワッと後から満たされた幸福感は、道後温泉でゆったりくつろいだかのようだったか。【宮崎えり子】