阪神鳥谷「よかったです」自己最長6戦連続打点

2回表阪神無死三塁、北條の左犠飛で生還し、ベンチ前で迎えられる鳥谷(撮影・清水貴仁)

<DeNA2-4阪神>◇14日◇横浜

 またも、この男が勝利の使者となった。阪神鳥谷敬内野手(35)が2回に反撃の左中間二塁打を放ち、逆転勝ちへの流れをつくった。これで自身初の6試合連続打点。4回にも安打を放ち、通算2000安打へ残り91本とした。5月は10戦中6戦マルチで月間打率は4割2分4厘。34試合目で貯金10に到達した虎のハイピッチ白星量産を、支えている。

 プロ14年目で初の領域に踏み込んでも、背番号1は終始落ち着いていた。「打ったのはストレート。高めをしっかりたたけました」。自身最長となる6試合連続打点を挙げたのは、2点ビハインドの2回だった。無死二塁で打席へ。4球目。DeNA今永の143キロ直球をとらえた。左中間を真っ二つに割る適時二塁打で反撃の1点を刻むと、その後、相手の暴投で三進し、北條の左犠飛で、同点のホームを踏んだ。

 4回には投手強襲安打。マルチ安打で2000安打へ残り91本とし、打率はチームトップの糸井(3割2分5厘2毛)に次ぐ3割2分4厘5毛まで上昇した。4月の月間打率は2割7分3厘(77打数21安打)だったが、5月を迎え33打数14安打で同4割2分4厘。チームも比例するように、5月に入って8勝2敗と白星を積み重ねてきた。

 鳥谷、糸井、そしてこの日決勝打を放った福留に共通するデータがある。三振が少ない上に四球が多いこと。昨季、34試合終了時点でチームは266三振を喫していたが、今季は232と減少。セ・リーグ三振数ワースト10には、誰も名前を連ねていない。四球の数も現時点では、昨季の106から141へと飛躍的に増加。片岡打撃コーチは「低めの球を徹底して見極められている。長くボールを見られたら四球が取れたりして相手のリズムを崩せるときもある。逆方向に打てるということは見極めができているということ」。この言葉を体現しているのが、17三振しかしておらず、21四球を選ぶ鳥谷だ。

 この日は2度の盗塁死を記録したが、盗塁企画数7はチーム最多。1つでも先の塁をうかがう攻めの姿勢を一貫し、チームを勢いづけている。試合後の取材では、報道陣に囲まれながら「最終的に勝ったのでよかったです」と謙虚な一言を残し、タクシーに乗り込んだ。貯金10の大台到達も、目線はすでに次戦を見据えているようだ。【真柴健】

 ▼阪神鳥谷が2回に適時二塁打を放ち自身最長となる6試合連続打点をマークした。これまでは14年9月15日ヤクルト戦から同20日中日戦で記録するなどした5試合連続が5度。今回は7日の広島戦で5打点を挙げるなど今季全17打点のうち11打点を期間中にたたき出す暴れっぷりだ。