楽天則本タイ記録 球威あり制球乱れぬ下半身の秘密

8回裏オリックス2死、中島からこの日10個目の三振を奪いグラブをたたく則本(撮影・渦原淳)

<オリックス1-4楽天>◇25日◇ほっともっと神戸

 楽天則本昂大投手(26)が、日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄の記録に並んだ。オリックス8回戦(ほっともっと神戸)に先発し、8回5安打1失点で抑え、10三振を奪った。6試合連続で2桁奪三振となり、野茂(近鉄)が持つ日本記録に並んだ。チームは連勝で2位ソフトバンクとのゲーム差は3・5に広がった。

 大きく深呼吸をついた。7奪三振で迎えた3点リードの8回。則本は眼光鋭く、先頭駿太をにらみつけた。カウント1-1から4球粘られたが、乱れない。7球目、真ん中低めスライダーで空振り三振に仕留めた。次打者の西野には「一番気持ち良かった」と振り返る、低め150キロ直球で空振り三振。最後は中島をカウント1-2からの4球目、低めスプリットで空振りを奪い、グラブを3度たたいた。3者連続三振で、6試合連続の2桁奪三振というプロ野球記録に並んだ。

 今年3月のWBC準決勝の日に野茂と初対面し、あいさつを交わした。「僕にとっては雲の上の存在。メジャーの両リーグでノーヒットノーランはできないですよ」。尊敬の念は心に忍ばせながら、記録への意識は捨てた。「正直途切れると思っていた。盛り上がったことはうれしいけど、個人の記録はどうでもいい。勝ったことがうれしいです」。チームの勝利を最優先に挙げた。

 則本は「3、4球で三振を取れれば一番リスクが少ない。球数が少なくなるし、自分も乗れる」と理想を掲げ、常に完投をイメージする。早いカウントからも使える勝負球として、シーズン中にスプリットを習得した。この日は4球以内に三振を奪った数は7個。うち3球三振は2度あったが「もっと3球三振を増やしていきたい」と究極の投球を追い求める。

 下半身に秘密がある。ヤンキース田中や則本の自主トレに同行する星トレーニングコーチによると「軸足(右足)の柔らかさが飛び抜けている」と言う。「投球時の体重移動、リリースを支える軸足の力の内旋(ないせん)が、普通の人の角度は40度くらい。でも、2人は70度。特に則本は下半身がすごい」。球威がありながら制球が乱れない理由である。

 次回登板では新記録の更新が期待される。交流戦の6月1日巨人戦に先発する予定だ。「取れる時は取れるし、取れない時は取れない。とにかく勝つことが全て」。三振はアウトの1つ、チームの白星を追い求める。【栗田尚樹】

 ▼楽天則本が10三振を奪い、4月19日西武戦から6試合連続2桁奪三振。91年野茂英雄(近鉄)のプロ野球記録に並んだ。6試合の奪三振数と奪三振率(1試合平均=9回あたりの個数)を比較すると、野茂が61個(11・2個)、則本が66個(12・6個)と則本の方がハイペース。期間中、クリーンアップトリオからの奪三振数は野茂22個、則本31個で、則本は中軸からも稼いだ。