ロッテ今季初2ケタ得点、伊東監督直筆「闘魂」実践

連敗を脱出しナインを出迎える伊東監督(左端)(撮影・梅根麻紀)

<ソフトバンク7-12ロッテ>◇25日◇ヤフオクドーム

 最下位で貧打にあえいでいたロッテが、ド派手な猛打で連敗を2で止めた。今季最多となる1試合5本塁打を含む9安打で、今季初めてとなる2桁12得点。ソフトバンクを豪快に寄り切り、今季ヤフオクドーム初勝利を手にした。チーム打率は2厘上がり、1割9分7厘。ようやく2割も見え、巻き返しのきっかけになる?

 最後の1発は、バックスクリーンにたたきこんだ。10-3の7回1死一塁、不振でとうとう8番まで打順が落ちたダフィーが、この試合2本目となる6号2ランを放った。2回先頭の鈴木の6号ソロから、重ねること計5発。前日までは12球団最少20本塁打の軽量打線が、ソフトバンク打線のお株を奪った。伊東監督も「珍しく、打線が爆発したね。2回のソロ2発が効きました」と手放しで褒めた。先発佐々木が初回に3失点していた。直後の1発は、反撃ののろしだった。

 「闘魂」。ロッテベンチのホワイトボードに、やや角張った字体で書かれていた。書いたのは、他ならぬ伊東監督だった。試合前、泥にまみれた高校時代を思い出していた。母校・熊本工のグラウンドのネット裏には、「闘魂」「根性」と大書きされたボードが置いてあった。「練習中、いつも見ながらやっていた。これだけやられたら、少しは意地を見せて欲しい。もう、気持ちしかないでしょう」。ソフトバンクには、まだ1勝しかしていなかった。プレーボール直前、フェルトペンを取り出すと「遊びで」したためた。

 最初の1発を放った鈴木は「監督が書いたんですか!? 今日は絶対に負けられない。みんな思ってました」と、気持ちが勝った。5回に日本通算250号となる今季1号2ランを放った井口も「諦めずに上を向いていきたい」と熱かった。

 敵地でやっと勝ち、ベンチは沸いた。4安打1点で敗れた今カード初戦。甘い球を見逃し、内容は最悪に近かった。試合後、野手だけの緊急ミーティングが開かれた。伊東監督は「察してくれ」と中身は伏せたが、気持ちを出せと、首脳陣が厳しい言葉で叱咤(しった)していた。この日は好球を逃さず、攻めて、振って、5本塁打12得点。「今日の勝ちをつなげたい」。伊東監督の心中には、借金を20から減らすことしかない。【古川真弥】

 ▼ロッテが5本塁打、12得点でヤフオクドーム今季初勝利。ロッテは今季45試合目で初の2桁得点。ここまでパ・リーグでは、唯一ロッテだけ2桁得点の試合がなかった。また1試合5本塁打以上は15年5月21日西武戦以来で、これも今季初。ヤフオクドームでの1試合5発は、過去10度記録した3本塁打を上回り、球団史上最多となった。