不屈の鳥谷!フェースガード装着1795戦連続出場

フェースガードをつけて代打出場した鳥谷は三塁ゴロを放つ(撮影・加藤哉)

<阪神6-1巨人>◇25日◇甲子園

 “バードマン”が猛虎打線に火をつけた。前日24日に顔面に死球を受けて鼻骨を骨折した阪神鳥谷敬内野手(35)が、黒のフェースガードを装着して強行出場。代打で三塁ゴロに終わったが、不屈の精神がチームを1つにまとめた。2試合で1点しか奪えなかった打線が、9安打6得点と爆発。復刻したブラックユニホームで球団創設以来初めて巨人を倒し、連敗を2で止めた。

 割れんばかりの拍手が甲子園を覆った。5点リードの6回裏2死。「代打 鳥谷」。黒いフェースガード姿の背番号1がゆっくりと、左打席へ歩き出した。「(怖さは)もう全然なかった」と振り返った。

 巨人桜井の初球は外角高め149キロ。力強く右足を踏み込み、強振でファウル。2球目も同じコースの145キロをファウルした。1ボールを挟んで4球目、最後は外角高め148キロに食らいつき、当たり損ねの三ゴロにもかかわらず、聖地は再びごう音のような大歓声に包まれた。試合後は「(歓声に)申し訳ないですね」と照れ笑い。想像を絶する「勇気」が見る者の心を打った。

 前夜の巨人戦。左腕吉川光の144キロ直球が顔面を直撃し、鼻からの流血が止まらず、兵庫・尼崎市内の病院へ直行した。鼻骨骨折で、2カ所が折れている重傷だったが、試合前練習に合流。前夜発注した特注の黒いフェースガードを着用し、金本監督に「スタメンでも行けます!」と直訴した。

 指揮官は「さすがに僕が止めました」と振り返るが、強行出場したおとこ気にナインが奮い立った。初回先頭の糸井が、8試合ぶりの安打を中前へ運んだ。これが号砲となり、上本の左中間を破る適時二塁打で先制した。鳥谷の“代役”キャンベルにも来日初アーチとなる2ランが飛び出すなど、初回だけで4安打4得点の猛攻。糸井は「勝って良かった。それだけ」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 金本監督は今日26日DeNA戦以降の出場については「様子を見ながらですね。あれだけ腫れがあると、こっちも怖い。また出血とか」と説明。「本人は出ると言っているけど。守ってやらないといけないところも正直、僕はあると思う」と続けた。連続試合出場は1795に伸ばした。当面は途中出場が続くかもしれない。それでも、その存在が虎の活力につながる。