楽天13点 イチバ~ン打線、徹底した菅野攻略法

楽天対巨人 2回裏楽天1死一、三塁、右前に適時打を放つ茂木。投手菅野(撮影・たえ見朱実)

<日本生命セパ交流戦:楽天13-5巨人>◇30日◇Koboパーク宮城

 「日本生命セ・パ交流戦」は30日、各地で6試合が行われて13年目のシーズンが開幕した。パ・リーグ首位の楽天は、セ・リーグ防御率トップの巨人菅野智之投手(27)を攻略し、13-5で快勝した。基本に忠実なセンターから逆方向への打撃を徹底し、5回8得点でマウンドから引きずり降ろした。「楽天イチバーン打線」が、本拠地Koboパーク宮城で迎えた開幕戦を快勝で飾った。

 スタメンに名を連ねた7人の左打者が、菅野から7安打を放った。そのうち5本が逆方向への当たりだった。初回先頭の茂木は、3球で追い込まれてからバットを少し短く持った。「菅野さんは球界を代表する投手。簡単にアウトになると、乗せてしまう。後手後手に回るとやられる」。スライダー、ワンシーム、カットボールなど多彩な変化球を見極め、カットし続けた。フルカウントからの10球目、甘く入った147キロ直球をコンパクトに逆方向へはじき返した。

 難攻不落の投手の攻略法が見えた。ファウルで粘って重圧をかけ、逆方向への意識に徹する。下位打線も、共通認識だった。1点を追う2回先頭で6番島内は2球で追い込まれたが、3球目の外角フォークを左前へ運んだ。次打者の岡島は「超積極的に甘めを狙っていこう」と6球粘り、相手の根負けを誘った。フルカウントからの7球目、甘く入ったカットボールを逆方向へ打ち返した。

 試合前に行われた全体ミーティングで、礒部打撃コーチは「コースを一発で仕留めないといけない。高めにはいつも強いボールを投げる。そこには手を出さず、ベルト付近の高さのボールを狙っていこう」と指示を出した。センターから逆方向への意識は、選手の自主性によるものだった。引っ張れば、内野ゴロの可能性が高い。無理をせず、つなぐ意識だった。

 この日は、試合前ではなく、全体練習前に円陣を組んだ。梨田監督が「優勝を目指そう」と士気を高め、一丸で巨人のエースを攻略した。指揮官は「2点取れたらいいというところ、素晴らしかった。引っ張りではなく、逆方向へ。なかなか最後まで徹底できるものではない」と選手のパフォーマンスに脱帽した。

 菅野降板後もウィーラーが満塁本塁打を放つなど、16安打13点で3連勝。今年の「楽天イチバ~ン打線」は本物だ。【栗田尚樹】