広島菊池攻守で6連勝導く 39人目200犠打王手

西武対広島 8回表広島2死一、二塁、菊池は右前適時打を放つ(撮影・浅見桂子)

<日本生命セパ交流戦:西武0-5広島>◇30日◇メットライフドーム

 今季も広島が交流戦の主役じゃ! 広島菊池涼介内野手(27)が好守と試合を決定づける一打でチームに勝利をもたらした。1回の先頭からの2死を、ポジショニングとグラブさばきで二ゴロとし、先発薮田を援護。打っては8回に1番田中が敬遠された直後の2死一、二塁から追加点を奪う右前適時打。チームを6連勝に導き、貯金も最多の11だ。神る必要はない!

 菊池は見ていた。西武秋山のヒットコースを消していた。「指示がないときは任せてもらっている。感覚です」。1回の先頭秋山の打球は、投手薮田が伸ばしたグラブの先を抜けた。完全な中前打コース。しかし、あらかじめ二遊間を締めていた二塁手菊池が数歩走って、現れた。確実にさばき、二ゴロを完成させた。

 菊池の守備ショーは続く。2番源田の打球は一、二塁間へ。すると今度は定位置よりやや右よりから、膨らみながら走路をとった。鋭く地をはうようなボールに、最後は左腕をいっぱいに伸ばした。ワンハンドで捕り、体勢を整えて送球。今季初先発の薮田に2死をプレゼントした。「守備はいつも出来ることをやろうと思っている。特に(感情は)ないです」と冷静だ。

 「直感」と菊池は言うが、観察のたまものだ。菊池は抜群に目が良い。捕手のサイン、構えるコース、打者のしぐさ。それだけではない。「たまにね」と控えめだが、投手、打者のユニホームのシワや、筋肉のスジまで気がつくこともある。データや傾向はもちろんだが、二塁から見る景色のほんの少しの違いが「予感」や「直感」につながる。

 打では「冷静さ」が光った。8回2死一、二塁。1番田中が敬遠されて打席に向かった。昨季最多安打の男は「打ってなかったから。でも逆にリセット出来た。詰まってでも向こう(右翼)に打とうと思ったのがよかった」。引っ張った凡打を反省。詰まりながらもフォークを右前に落とした。一塁上で軽く手をたたき、今度は少しだけ喜んだ。

 4回には先制点につながる犠打を決め通算199犠打。プロ野球39人目の200犠打に王手をかけた。守って、打って、送って。チームを6連勝に導いた。昨季は交流戦で勢いをつけてVロードを走った。今季は着実に、淡々と勝つ。欠場する試合ではベンチには座らず、最前列で声をからす菊池が、先頭に立つ。【池本泰尚】