オリックスのマレーロ、ホーム踏み忘れ来日1号パ~

オリックス対中日 5回裏オリックス無死一塁、マレーロは左中間フェンスを越える打球を放つも生還するときにホームベースを踏まず三塁打となる(撮影・加藤哉)

<日本生命セ・パ交流戦:オリックス4-2中日>◇9日◇京セラドーム大阪

 オリックス新外国人クリス・マレーロ外野手(28)が衝撃デビューだ。来日初アーチのはずが、まさかの本塁踏み忘れによって「幻」となった。中日1回戦で1軍昇格即1番スタメンで出場。5回無死一塁で左中間へ逆転2ランを放ったと思いきや、本塁を踏んでいないとして三塁打で同点どまり。試合は延長10回にステフェン・ロメロ外野手(28)がサヨナラ7号2ランで連敗を阻止し、広島、ソフトバンクと並んでの交流戦首位をキープ。こちらはもちろん、しっかり本塁を踏んでますので!

 きわめて珍しい場面だった。オリックスが1点を追う5回。2打席凡退のマレーロが、小笠原の真ん中チェンジアップを強振。打球は左中間席に届いた。逆転2ラン…と思いきや、とんだ“事件”が発生した。

 ベース1周を終えたマレーロはベンチで笑顔。ところが次のインプレーとなった直後、中日からアピールが入り、一塁の吉本塁審はアウトのジェスチャー。球場の雰囲気が一変した。マレーロは状況をのみ込めない。「なぜなんだ?」とばかりに両手を広げた。

 本塁付近に位置し、生還の確認役だった吉本塁審がマイク説明。「マレーロ選手が本塁を空過し、その後にアピールがあったので得点は1点で試合を再開いたします」。ざわつきがどよめきに変わった。すぐに福良監督が審判団に確認。ビデオ判定を要求も通らなかった。記録は同点となる適時三塁打。マレーロは来日初安打、初打点となったが、喜び半分となった。

 「自分では踏んだつもりだった。こんなことは初めて。本塁打にならず、勝ち越せなくてガッカリした部分はあった」

 よもやの出来事に、福良監督も首をひねった。「何が起こったのか、分からなかった。(追い越せずに)嫌な流れだったけど…。ロメロがよく打ってくれた」。延長10回には4番ロメロのサヨナラ2ランで決着。来日2年目で初めて二塁を守った6番モレルも2安打1四球と貢献し、助っ人トリオが安打をマークした。オリックスの外国人野手3人がスタメンに並ぶのは14年8月13日の西武戦以来。球団3年ぶりの超攻撃的布陣が機能して、交流戦首位をキープした。

 「プレーする中で、チームが勝つことがゴール。いろいろあったが、勝ててよかった」。大きなインパクトを残したデビュー戦を終えたマレーロは、また笑顔に戻った。負ければ踏んだり蹴ったりだったが、勝ったことで救われた。【大池和幸】