<日本生命セ・パ交流戦:日本ハム3-2巨人>◇10日◇札幌ドーム
日本ハムの主砲、中田翔内野手(28)が劇的な決勝打でチームの連敗を6で止め、栗山英樹監督(56)へ通算400勝を贈った。「日本生命セ・パ交流戦」の巨人2回戦(札幌ドーム)の8回に決勝の逆転適時二塁打を放った。この日は4番ではなく「3番一塁」でフル出場。栗山監督がこだわり続けた「4番中田」を外す大胆策に打って出て、「3番中田」が期待に応えてみせた。
打つしかなかった。3番中田が、1点を追う8回1死二、三塁から逆転二塁打を放った。巨人は森福からマシソンにスイッチ。1球目に西川が二盗に成功すると、その後はボールを見極める。5球目の151キロを持ち味の力強いスイングで捉えると、左中間を強烈に破り、一気に2点を奪った。
二塁塁上で、三塁側ベンチへ向かってガッツポーズし、ほえた。打率2割台前半と苦しんできただけに「みんなが、こんなに頼りないバッターに回してくれた。意地でも打ちたいと思っていた」と喜んだ。
8回の打席に入る前に、ファンのツイッターが左翼上方にある大型ビジョンに表示された。「4番も3番もやることは一緒」。そのメッセージを見た中田は、「その気持ちで打席に入った」と気持ちを奮い立たせた。
低迷する現状を打破しようと、栗山監督は打線を大きく組み替えた。12年に就任して以降、前日9日まで先発した720試合では全て4番を任せていた中田を3番に変えた。
試合前、栗山監督は「翔の打順を変える」と、自ら切り出した。2日連続で中田と話し合った末に出した結論だった。前夜、チームは今季3度目の6連敗を喫した。4番の調子も悪かった。「翔が翔らしくならないと勝てない」と、4番の重圧から一時的に解放させた。
連敗を止めると同時に、栗山監督にとって通算400勝の節目でもあった。「何のことか分からなかった」と、試合終了直後にセレモニーにも驚いたが、何より感極まったのは中田の決勝打だ。「感動したね、久々に。野球の神様は見てくれていると、今日は感じた」。中田は凡打でも、全力疾走した。守備でも、必死に打球を追った。求め続ける姿を見せてくれたことに、価値があった。
ウイニングボールは、中田から栗山監督へ手渡された。その場で「400勝」と手書きした。筋書きがあるはずはないが、劇的なドラマを「3番中田」が、完結させた。【木下大輔】